第37話雷のマクレイン

「やっぱり、エクレールバスターで装甲はボロボロだね。」


僕は魔導銃の引き金を引きながらそう呟く。

最初は弾かれていた弾丸も、今では容易く兵器の装甲を貫通する。


「!!!」


右腕を失っても左腕で周りの木を掴み、それを振り回してくる。しかし、ダメージは無いわけではないらしい。


「遅いよ!」


魔導銃に雷の魔力付与して弾丸の威力を上げて、何度も引き金を引く。命中する度にバチッ!と弾丸が命中した位置に小さな雷撃が起こり、兵器はまるで蝸牛の様に遅くなる。


「ねぇ、動きが遅いよ!」


「!!!」


当たったら危険な一撃だけど、遅くなった動きでは僕を捉えることはできていないようだ。大降りに木を振り回しても簡単に避けられる。そして、木を振り上げた瞬間体はがら空きになった。


「サンダー!」


装甲が剥がれて中身が見える部分に雷魔法をぶつける。兵器は一瞬動きを止め、振り上げたられた木は兵器の頭部へと落ちる。装甲が有れば凹む事は無かったと思える部分が痛々しく陥没している。


「まったく、機械に痛々しいとか、、、

有り得ないよね!」


そう言って僕が右手に持っている片手剣に雷の魔力を纏わせる。


「今度は、、、これだよ!

連撃サンダースラッシュ!!!」


自分にも雷の魔力を纏わせ、動きを加速させる。サンダースラッシュを兵器の胸、この一点に当て続ける、自分の限界が来るまで。

兵器も残った腕で防いでいるけど、関係無い。これで決める‼️


「ハァァァァァァ!!!!最後の最後!

くらえ、エクレールバスター!!!!」


余った全ての魔力のこの一撃にかけ、最後のエクレールバスターを兵器に向けて放つ。

剥がれた装甲がバラバラに砕け散って行き、最後は兵器の胸に大穴を開けて終わった。


「はぁはぁはぁ、ねぇバロ、見てた?」


「お疲れさん、んじゃさっさと帰ろうぜ。

帰りは肩を貸してやるよ。」


「お言葉に甘えるね。」


僕は、それを区切りに地面に座り込んでしまった。バロは僕を持ち上げて、


「呼び捨てか、まぁ良いか。なら折れもマクレイン、お前の事をディスタと呼ぶ。」


なんて事を言ってきた。


「問題ないね、改めて、ありがとうバロ。」


「あぁ、お疲れさんディスタ。

いや、雷のマクレインの方が良いか?」


「止めてくれ!」


帰路は軽口を言い合いながら帰った。

勿論、兵士には顛末を聞かれたよ。ソルジャー二人が傷だられ、血塗れの姿で帰って来たんだから。僕が何か言う前に、バロが言ってくれた。


「俺はバロ・ランバース。ベヒモスは既に討伐してある、しかし、戦闘中ベヒモスよりも強力なモンスターと遭遇した。」


回りが一斉にざわめく。


「黙れ!そのモンスターも俺とディスタによって既に討伐してある。バレタニア街道は安全だ!」


「「「オオオオオオ!!!」」」


そこからは色んな人から、


「流石だな!」


「格好いいぜ!」


とか色んな労いの言葉をかけてもらった。


「バロ、君は?、、、バロ?」


もう一人、この言葉たちを受けるべきの人物はここには既にいなかった。







ここはバレタニア街道付近の森の中、そこには森に似つかわしくない派手な赤と紫のマントを羽織った二人の人物がいた。


「実験は、、、まあまあだな。まさか、ソルジャーがここまでとは。」


「イジェクト、お前でも予想を外すんだな。」


「あぁ、そしてソイツもイレギュラーだ。」


「マジかよ。」


二人の男は何も無い空間に向かってそれぞれ攻撃を開始する。


「おいおい、戦闘するのか?」


「かぁぁ!てめぇソルジャーか?!」


「ほぉ、さっきの、、、気絶していた訳では無さそうだ。」


「あの兵器、お前らだろ?」


「何故そう思う?」


「赤と紫のマント、俺さスッゲー心当たりあるんだよ。組織の指導者だよな?名前は、、、赤のイジェクトと紫のドラントだったっけ?今は争う気はない、此方に被害は無かったしな。」


「へぇ、なら何で現れたんだい?」


「挨拶だよ、後は、、、ね?」


「わかったよ、お前?宣戦布告してんだろ?」


「いや、宣戦布告なんて考えてない。別にあんた等が何をしようが俺には関係無い。ただ俺の生活の邪魔してみろ、潰してやる。」


バロはそう言って姿を消した。


「ドラント、、、気配は?」


「無い、消えたな。イジェクト俺達も帰るぞ。見つかると面倒だ。」


「あぁ、、、、潰してやるね。」


その声を最後に森は静けさを取り戻した。




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