第17話先へ

「はぁはぁはぁ」


疲労がピークへ到達した時、建物が見えた。目的地の中継地だ。肉体はもう動けない、いや動く事すらままならない。しかし、俺の存在は解って貰わなくちゃ不味い。

俺は空に向かって火の魔法を放った


「、、、だれでも良い、気付いてくれ。」


俺は最後の望みを胸に、意識を手離した。



「っ!、、、ここは?」


うん、あれだな。目覚めたら見知らぬ場所だった。まさにこれだ。どうやらベッドに寝かされているようだ。

俺は痛む体に鞭を撃ち、ベッドから降りた


「くっ!」


ふらつく体が倒れ込むのを防ぎ、 意識をはっきりさせる。まず、どれだけ時間が経ってるか確認しよう。俺が倒れた時には既に夜だったはずだ。


「今は、、、朝日または夕陽か。」


どちらにしても俺を助けてくれた人がいるはずだ。先に感謝位はのべないと。


「あっ、起きてる。」


「君は、、、ジュリアちゃん?」


「うん、あのときは有難うね。でも、流石ソルジャー!私達が助けた時ね、お兄ちゃん血だらけで倒れてたんだよ。でも直ぐに治っちゃったの!ソルジャーさんって凄い力を持ってるんだね!」


おかしい、血?そんなの倒れた時に流してなかったし、血だらけの男が一晩で治るのか?

俺にはそんな力は、、、力は、、、


「お兄ちゃん、どうしたの?」


「いや、問題ないよ。」


そう、さっきまであった目眩も、痛みも、何もない。そう、俺は健康体なんだ。

昨日の悪夢が、まるで嘘だったかのような。

あの炎が、俺を焦がしたあの炎が。


恐らく、奴と同じ動物兵器が現れるだろう。

俺の、あの力がまた表れる保証は何処にもない。次は、実力で殺す。


「、、、お兄ちゃん?」


「どうしたの?」


「、、、怖い顔してるから。」


まさか、俺が顔に出していたのか?

ソルジャーは顔に出してはいけない。

俺の信念なんて物じゃないが、殺しもするのに表情でバレちゃいけない。


「ごめんね、怖がらせちゃったね。

でも、大丈夫だよ。安心してね。」


昔、マリンをあやした時のように怖がっているジュリアちゃんを宥める。


「死んじゃったと、、、思ってた。本当に!死んじゃったと!」


ジュリアちゃんは俺に抱きつくとまるで赤ん坊のように泣き始めた。


「すんだかい?」


「、、、お兄ちゃん、そこは女性に対してはもっといい言葉があるんじゃないの。」


「ごめんね、女性の扱いは下手だから。」


「ふふっ、馬鹿みたい。」


ジュリアちゃんは笑ったようだけど、無理しているのは丸分かりだ。


「ごめんね、、、スリープ」


俺はジュリアちゃんに睡眠の魔法をかけ、俺がさっきまで寝ていたベッドに寝かせた。


「、、、時間をかけすぎた。さっさと行くべきだな。扉は、、、ばれるか。」


俺は窓を開きまだ誰にも見られないよう。

中継地を後にした。





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