第16話切り札

俺は体が炎に焼かれたはずだった。

燃え盛る炎が襲って来たはずだった。

でも、俺は生きている。

周りの結界さえ破壊し、仲間もろとも殺した奴以外に、何故俺が生きている?


「貴様、その姿はなんだ?!」


「姿?何を言っている!」


「人間が、、、何故龍鱗を纏っている!」


奴に言われるまま自分の姿を確認する。

恐る恐る腕を見ると服が燃え尽き、皮膚が見える筈なのに、そこにはまさに竜(ワイバーン)が纏っている鱗があった。


「何でか知らんが、お前の攻撃は俺に効かないみたいだな。、、、所で炎が何故燃えるか知ってるか?酸素が燃えるのに必要だからなんだけど、お前苦しくなってない?」


「何を、、、!貴様、何を、した!」


「凍らせただけ。」


そう、凍らせた。酸素を凍らせたんだ。原子さえも凍らせる絶対零度の氷、酸素も原子が動かないと酸素として、存在しない。俺の氷は、まだ絶対零度では無い。

だから炎が生きていた。だが、今の俺は力が漲っている。


「と、、、溶けん、、、体が、、、凍る」


魔法に魔力を更に込め、奴の体への氷の侵食を速める。冷気に侵食された体は間もなく、氷像へと姿を変えた。


「くたばれ。」


ダガーを構え氷像になった奴を殴る。氷像はまるで硝子のように、一瞬で一握りの行きへと変わった。


「ぐっ!」


奴を倒すと、体の竜鱗は姿を消し何時もの皮膚が現れた。大きな疲労の中、燃えた服の変わりに予備の外装を羽織り、馬車中継地へと歩き始める。

上手く行けば、夜には着くだろう。


「バケモノめ」


奴に対して悪態を着きながら、歩き続けた。


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