第15話紅い獣

まさか、喋るとは思わなかった。

しかも仲間意識を持っていやがる。


「襲われたら、守るために殺す。当たり前じゃないか?」


「ほぉ、獲物の分際で良く喋る。

貴様、言い残す事はあるか?」


殺気は感じないだが、確実に俺を殺すってのは解る。殺気の無い殺意が奴にはある。


「お前、名前は?それだけ知能が有るんだ、名前ぐらい持ってんだろ?」


「、、、試作型動物兵器1号」


「、、、そいつは駄目だ、名前は、、、トライアル、よしお前トライアルだ。」


冗談を入れて敵を観察する、、、トライアルはおそらくうちの国の研究機関から逃げ出したか、それとも隣国から逃げて来た生物兵器なのだろう。


しかし考えている余裕は無かった。

トライアルは体に炎を身に纏い俺に向かって飛び掛かってきた。

間一髪で回避したものの、地面がまるで溶岩のように煮たっている。


「随時なご挨拶だな、トライアル。」


どんだけの温度なんだよ。地面が溶けるって相応だぞ。


ダガーを構え、俺も戦闘体制をとる。

そして、魔法を纏わせる。

纏わせる魔法は氷、氷なら奴の炎を消せるかもしれない。


「ちっ」


氷を纏わせたダガーは奴の爪に防がれ、肉体へ届く事はない。だが、俺の目的は肉体への攻撃ではない。


「貴様!」


奴の爪に冷気が伝わり、足がだんだんと凍り付いていく。


「俺の目的に気付いたか?だがもう遅い!」


「足を凍らせた所で無意味!我の炎で燃やし尽くしてやるわ!」


氷と炎のぶつかり合い。どちらの魔力が長く持つかそれがこの戦いの勝者を決める。

凍てつく氷、燃え盛る炎。俺と奴。

どちらが勝つか、どちらが負けるか。


「なぁ、絶対零度って知ってるか?」


「何を!」


「絶対零度-273.15℃はどんな物質も活動を停止する。」


かつて母さんに教えられた。氷の魔法はその絶対零度により近付けた方が勝ち、絶対零度は炎さえも寄せ付けない。


「お前の炎は消えた、、、体はすでに凍り始めているぞ?」


炎は消え去り、俺が勝ったそう思って俺は魔力を強めた。しかし、


「貴様が絶対零度を操るのなら、我は火を操るの物、貴様に勝利は無い!」


何故だ、何故余裕なんだ!俺は、俺は確かに奴の炎を!


「見せてやる、我の真の姿をな。」


凍り付けにした体から湯気が立ち上る。

絶対零度の氷が溶かされ、消えていく。

俺の回りの温度が上がり続け、草木が燃え始めている。


「馬鹿な!仲間も死ぬぞ!」


「良く見ろ、我等の回りには結界がある。回りに被害は行かんよ。、、、喰らえ!絶対零度さえも凍らせる事のできる炎、プロミネンス・ノヴァ。」


おいおい、こりゃ死んだな。


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