第14話馬車の旅
インピオロに向かうため乗り合い馬車を取り、現在は南門から出発したばかり、4人乗りの馬車には俺とフードを被った母子。三人が座っている。時間がかかる旅だし、寝よかとも思った所で窓の外を見て喜んでいる少女が話しかけてきた。
「ママ!お外凄いよ、おじちゃんもそう思うでしょ!」
「そうだね、、、。」
おじちゃん?え?俺ってそんな歳に見えるの?え?
「すみませんね、娘に構って貰って。」
「いいえ、大丈夫ですよ。あと、君、僕はおじちゃんじゃないよ。」
子供の面倒を見るのは慣れている。幼馴染がとてつもなく、衛兵や騎士を潜り抜ける力を持っていた為に俺しか護衛がいなかったからな。、、、そう考えたらマリンも大変だったな。俺は護衛だけどマリンは妹扱いだったし
何時も俺と一緒に我が儘に振り回されたっけ、、、バレットとの中も拗れちまったし、帰ったらどうしよう。
「クシュン、何故かしら誰かが私の悪口を言っている気がする。」
「そうですか?それよりもセリエ様、帰りましょう?!お父様が!」
「駄目よ!今の私達は町娘のセリエと、妹のマリンでしょ!たっぷりバレタニアを観光するわ!」
何故だろう、マリンが大変な思いをしている気がする。
「ねぇ、おじ、、、兄ちゃんはソルジャーなの?」
間違えたよ、聞こえたよおじって!まぁ、子供の言葉だしね。しょうがないね。
「そうだよclass2nd。」
「凄い!それなら、悪い人がもし来たら倒してくれるね!」
「すみませんね、娘はソルジャーに憧れてて、、、すみません、そう言えばお名前は?私はメリエットです。」
「ジュリアだよ!ソルジャーさん、ママが美人だからって口説いたら駄目だからね!」
「どうだろ、君を口説くかもよ?」
「キャー」
「おぶ!」
笑おうと思った、冗談のつもりだったし、ジュリアちゃんも笑ってた。でもね、足はいけない。ジュリアちゃんの足は俺の脇の下に辺り、力が入らなくなってしまった。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「うっうん、大丈夫。」
男ならアレが弱点だと思う人もいるだろう、でも俺はそれだけじゃなく脇の下もヤバいんだ。擽られるだけで悶絶する。
「すみません!娘がこんな事を」
「大丈夫ですから、、、あと名前でしたよね。僕はバロです。改めて、メリエットさん、ジュリアちゃんも宜しくね。」
「うん、ごめキャ!」
馬車の速度が上がりジュリアちゃんが俺の方に倒れ込んでくる。すぐにメリエットさんに任せ、馬車内と御者を繋ぐ窓口を開け確認をとる。
「何があった。」
「ハウンドウルフです!縄張りを作ってたようで馬車を追ってきてます!」
馬車の後部ドアを開け確認すると確かにハウウンドウルフ5頭が馬車を追って来ている。
ハーファシー領は定期的にモンスター狩りをやってるのに、、、バレットめ、絶対文句言ってやるからな!
「馬車は走り続けろ、俺がやる!」
「お兄ちゃん?!」
「メリエットさん、ジュリアちゃんを抱き締めていて下さい!チッ!ファイア!」
「キャイン!」
一匹を火の魔法で始末し残りも殺ろうとすると、御者の叫び声が聞こえてきた。
「前から4匹!」
ハウンドウルフの習性、群を半分に分け獲物を生い立てる班と仕留める班に別れる。
「、、、御者、後で金返せよ。」
「何する気ですか!」
「ハウンドウルフなら獲物が一匹でも居たら追いかけない。俺が囮になる、早く行け!」
「そんな、貴方はどうなるんですか。私の仕事はお客を安全に運ぶ事なんですよ!」
「悪いな、先に行くぞ。」
「お兄ちゃん?!」
「ジュリアちゃん、ごめんね。あと8年俺が口説くにはそれぐらい必要だね!メリエットさん、後でお茶しましょ!それじゃ!」
馬車を飛び降りハウンドウルフの前に着地する。ハウンドウルフは追跡を止め、俺を囲むように陣を組んだ。するとまるで、何かを通すようにその陣に間が現れた。
そして、一匹のハウンドウルフとは似ても似つかないモンスターが俺の前に鎮座した。
紅く燃えるように輝く毛並み、そして優々しくそびえ他のハウンドウルフはその一匹に頭を垂れる。
「貴様、我の仲間を殺したな。」
おいおい、喋ったよ。
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