第4話街へ

セリエとマリンを乗せ、馬車はマリンの父。

バレット・ハーファシーが領主を勤める、

ハーファシー領最大の都市バレタニアに向かっている。御者は俺だ、生存者が二人しかいなかったんだ。それに、どちらも出来そうにないしな。セリエは馬車の中だが、マリンは俺の隣だ。


ゴトゴトゴト


襲われる等といった事はなく、暇な時間が過ぎていく。誰も喋らない中、口を開いたのはマリンだった。


「あの、バロ様は何故彼処に現れたのですか?」


マリンに今までの経緯を説明し、自分がどういう状況にいるのか。それを説明した。


「つまり、最低限のお金と食料で旅にだされた?、、、貴方、普通なら死ぬわよ。」


「はいはい、なら逆に聞く。マリン、何故セリエはここにいる?普通、第二王女殿下なら温か~いお城で優雅に暮らすもんでは?」


「言い方に棘が有るけど、、、マリン、貴女が説明して上げて。」


「マリン、俺に、俺達に嘘は無いよな?」


「、、、幽閉です。セリエ様の人気が王都で高くなってしまい、王太子殿下の立場が危うくなると思った両陛下はセリエ様を遠ざける事にしたのです。殺さないのは、恐らく二人の愛情でしょう。」


「、、、まさか、暗殺者なんか寄越すとは思わなかったけどね。」


「確かにな、最初は護衛は何人いたんだ?貴族、ましては王女殿下の護衛となれば最高クラスの者が用意されるハズだ。」


そう、最高クラスの騎士は対人戦闘、用心護衛に特化した先鋭のハズだ。簡単にやられるとは思わない。実際、死体は三体分しか無かった。しかし、王女の護衛としては少なすぎる。


「あら、それなら今後ろで引きずられてるわ。でも、おかしいわね。父様と母様は最高クラスのソルジャーを向かわせるとか言ってたけど。」


そこで俺は思い出す。俺だけを包んだ赤い光、、、そう、あれは座標転移の光だ。兄弟が受けたのは青いランダム転移。、、、つまり、最初から仕組まれていたと。


「マリン、セリエ、俺は二人を助けた。勿論、報酬は貰えるよな。」


「どうかしら、、、生憎貴方はソルジャーではないわよね?貴方が自主的に私達を助けたとならなくて?」


、、、ほぉ、良いだろうなら考えがある。


「後ろの人、ここで王女殿下殺したら俺にも報酬貰える?」


「ちょ!バロ様!何してるんですか!」


「マリン、お前は殺さないから安心して。」


「いえ、そうじゃなくて!、、、報酬なら私が必ず用意します。ハーファシーの家名に誓って。だから、セリエ様を殺すのだけは!」


「わかった!わかった!からくっつくな!

操縦の邪魔だ。」


「ごめんなさい、バロ様。、、、でも、バロ様が悪いんですよ。あんな嘘言うから。」


「、、、!(可愛い)」


まずい、マリンと言ったらまだ成人していない子供じゃないか。俺は一体何にときめいている。平常心だ。


「あっ、バロ様!見えました。あれです!あれが私のおうちです!」


マリンが指を指した方向に視線を向ける。

そこには、かつて見た王都にも匹敵する防壁に囲まれた巨大都市があった。


「、、、ここが」


「バロ・ランバース様、セリエ・ラ・ターシェ第二王女殿下、ようこそ!わがバレタニアへ!」

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