第3話久し振りだな!

捕虜は両手を縛われ馬車の後部に縄で結ばれる。そこにまるで子供にも見える鎧を纏った人物が現れた。さっき治療してやった奴だな。鎧なんて持ってたんだ。


「お前達は敵だ。だから教えてやる、馬車が動き出してから転んでみろ。助けられることもなく目的地に着くまでずっと引きずられる。生きていれば、、、結局処刑だろうな。ここで死ななかった事を後悔させてやる!」


はぁ、せっかく捕虜にしたのに殺されるんじゃあ、俺が頑張った意味がない。


「待て、捕虜は俺が捕まえた。お前は関わるな。それに、、、殺さないと約束した。」


「貴様、さっきからなんなのだ!確かに我々は貴様に治療された。しかし、指図を受ける義理はない!、、、構えろ!私が負ければ貴様の指示を聞こう!、、、ふぅ、行くぞ!」


「、、、直ぐに熱くなる奴は嫌いじゃない。、、、一撃で終わらせる。」


騎士は剣を、俺は短剣を構え互いににらみ会う。すると騎士の方が名乗りを上げた。


「我はマリン、マリン・ハーファシー。」


「バロ、バロ・ランバース。」


「いざ、 「はぁ、

参る!」 行くぞ? 」


騎士は剣を横に払い俺との間合いを取る。

しかも通常の剣よりもリーチの長い騎士剣だ。下がらなければ、俺は服に切れ目が入っていただろう。そんなリーチの長い奴に比べ俺は間合いを積めないといけない短剣。

普通なら負けは必須。


「そんな短剣一本でこの間合いをどうにかできる訳が無いだろう。降参が身の為だと思うぞ。」


そう、俺は短剣を一本しか出していない。

でもこれは決闘だ、流石に卑怯な手を使う気はない。俺は魔力を短剣に流した。見た目に変化はない。でも、確かに感じる。


「ハァァァァ!」


「シッ!」


キーーーーン


金属のぶつかり合う音が響き渡る。

騎士は自分の状況が飲み込めていないようで、唖然としている。

まぁ、仕方ないだろうな。剣が文字道理、真っ二つになったんだから。


「流石です、バロ。相変わらずの強さですね。、、、前より私好みになりました。」


俺と騎士との決闘が終わると、貴族の女がそんな事を言ってきた。


「前より?どういうことだ?」


そう、俺には貴族の知り合いはいないハズだ。両親は貴族とのパイプも多いが、俺個人は貴族の令嬢に知り合いは絶対いない。


「セリエ様、この男をご存知で?」


「あら、マリン。貴女!忘れたの?バロは家名まで言ったのに。」


セリエ?マリン?どっかで聞いた事のあるような、無いような。

俺が考えているとマリンと呼ばれた騎士の方が


「ああああああ!!!!」


と叫び声を上げた。


「あの~、バロ様?私、マリンです。バレット・ハーファシーの娘の。」


「あー、あのぽっちゃりちゃんか。

、、、へ?嘘、、、?

あのぽっちゃり気味のマリン?

運動音痴で少し疲れただけで俺におんぶされてたマリン?ダンスもろくに踊れないマリン?あの?」


「、、、バロ様が私をどう思っていたか良ーく解りましたわ!」


「あら、出会って直ぐに喧嘩なの?マリン、貴女、バロに振り向いて貰うんだって張り切っていたじゃない。」


「わー!わー!わー!」


「すると、、、あの腹黒がこんな姫様になるとはな。セリエ、セリエ・ラ・ターシェ第二王女殿下。」


「そうね、久し振り。」


「あぁ、久し振りだな。」











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