第2話バロ、大地に立つ。
拝礼、お母さん。
あなたがこれを読む頃に、僕はきっと貴女を恨んでいる事でしょう。
「なっなんだてめぇ!いきなり現れやがって!野郎共、こいつもまとめて殺せ!」
「「おう!」」
母さんから転移魔法で転移させられた先、それはまさに盗賊が馬車を襲撃している最中だった。みすぼらしい格好で武器を持ち、肌は返り血にまみれている。そんな奴が襲って来たんだ。攻撃したって問題ないだろ。俺は母さんに貰った短剣を構え、最初に突っ込んで来た奴を標的にした。大剣を構え、俺に振り下ろしてくる。
「うっひゃ!死ねぇ!」
何も考えてない斬撃、縦一文字。そんなもの体を横にずらすだけで回避はできる。後は、二撃目が来る前に相手の首をドラゴンダガーで突いた。短剣と言えど刃渡りは10cmはある。喉の深くまで簡単に入る。だが、動くかもしれない、後はエレメンタルダガーで心臓を一突き。確実に止めを指す。
「てってめぇ、良くも仲間を!」
「仲間思いなら他でやれ。」
今度は確実に殺す余裕はなくなった。馬車を警戒する三人を残し、五人が俺に刃を向けてきた。だが、殺るしかない、多対一。そんなのは戦場では当たり前。親父の教えだ。さっきのでこの短剣達の切れ味は解った。なぜって?力を入れなくても簡単に人間の皮膚を裂けるんだ。親父の教えの通り、俺は敵の斬撃の合間を縫って足や腕を切りつける。
「ぐっ!」
「他の奴もこい!人質どもはどうせ縛ってる動きはしない!」
司令塔が一人、恐らく戦況の不利をさとって仲間を呼び寄せたのだろう。だが、俺の戦闘能力を分析できていない。
「フレイム。」
「「「ぎゃぁぁぁ、熱い、熱い!!!」」」
三人は一瞬にして丸焼きに、ボスは馴れているのか直ぐに指示を出してきた。
「詰めろ!彼奴は火属性魔法使いだ。魔法を放てない距離まで詰めれば勝機はある!」
「馬鹿、属性1つな分けないじゃん。」
「なっ!ぐぶぁ、、、ぐはっ。」
闇魔法、相手からの認識を消す暗殺者特有の魔法だ。母さんはあれでも最高の魔法使い。
全属性を網羅している、そして俺とヘレンは魔法の適正に関しては母さんの血を受け継いでいる。
「司令塔が死ぬと雑兵はどうするんだろうな?」
生きている五人、しかし俺に足を切られている。走れたとしても、いや、歩けたとしても森には野獣が数多く生息している。
「お前達には二つ、選択肢がある俺を殺すか?逃げるか?さぁ、選べ。」
「、、、待ってくれ。降伏する、俺達はあんたに降伏するだから命だけは助けてくれ。」
「、、、嫌だ。」
「お待ちになって!その方達は既に戦闘の意識はありません!」
女?この口調?どっかの貴族様か?こいつらは面倒な馬車を襲ってたんだな。護衛を殺せる実力な辺り、闇ギルド辺りの暗殺者か何かだな、、、もしそうなら。
「お前だけでも!」
五人のうち比較的浅い怪我の一人が女の方に剣を構え斬りかかった。
「 ふっ、、、何、、だと。」
「え?」
「殺すなって言ったろ?殺してない。」
俺がやったのは襲いかかった奴の右腕の肩、右足の腱にダガーを投げて切り裂いただけだ。右腕で剣を振り上げてるんだ。右腕さえ封じれば攻撃はできない。そして、足の腱に対してダガーを投げた。思った通りスパッと綺麗に切れたよ。
「他の奴等に縄をかける。生き残りがいたら馬車の前に、治療してやるよ。」
「えっ!あの、ありがとうございます!」
さて、何人くるのかな?
、、、結局、来たのは一人のみ。
まったく、運がなかったな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます