第3話 コンビニでの嫌な再会

「寿崎を見ていると、ムカつくんだよね~♪」

「え……」

「超ウゼーってことで、これからオメーのことウザキって呼ぶな!」


 コンビニで買い物中、昔のことを思い出してしまった。ああ、そんなこともあったな……なんて軽く流せない。よく浮かんでくるそれは、おれにとって相当なトラウマだ。


「人に不快感しか与えらんねぇ能無し!」

「近寄るなバイ菌!」

「お前、何か臭くね?」


 次から次へと吐かれた暴言は忘れられない。おれの見た目は、そんなに嫌な気分になるのだろうか。特別に褒められるような外見ではないというのは自分でも分かっているけれど。


「……」


 気持ちを切り替えよう。とりあえず今は買うアイスを選ばなくては。


「あれ~ウザキじゃね?」


 声が聞こえた。ビクッとして横を見ると、そこには悪い意味で忘れられない同級生がいた。その顔を確認して、おれはサッと視線を戻した。


「ひっさしっぶりー♪ 相変わらずキモいね~。成長しても、まだ不登校かな? てか高校、進学できたのかよ」


 できたよ。

 心の中で返し、おれはアイスを見ている。


「まあ人生が狂っても、くれぐれもオレのせいなんかにしないでね~♪ せっかく親切にアドバイスしてあげているのに、いつまでも整形もせず変な顔している自分が悪いんだろー?」


 お前が初めてだよ、そんな余計なことを言ってきたのは。


「ねーえ、ちょっと無視ぃ~?」


 しつこい。

 アイス選べないだろ。

 店内がザワザワし始めたのに、まだ続けるのか。


「……チッ! 何なんだよ、お前! せっかく声かけてやったのに、ふざけんなよマジで!」

「寿崎さんに何するんだぁ~っ!」


 えっ?

 ドタドタと多くの足音が聞こえてきた。


「な……何だ、こいつら……」


 吐き気を催す存在は、その駆けつけてきた団体にビビっている。さっきまで、おれに悪態をついていた奴はピシッと固まっている。


「ほれ。やってやれ寿山」

「はいっ、博士! 寿崎さんをいじめる奴はっ……どぉすこぉぉぉぉぉいっ!」

「ヒッ……」


 ずどーんっ!


「ギャーッ!」


 お相撲さん改め寿山の張り手を喰らって奴は倒れた。そして何と!


「うわ!」


 奴は消えてしまった。

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