魚の骨についた泡
空気の海の奥底で ずっと昔から溺れている
生まれ落ちたときから
ずっと ずっと ずっと
溺れ続けている
青い部屋のスマホの明かりがチョウチンアンコウの疑似餌みたいだ
小さい頃は 気づかなかった 見えない手が支えていたから
先生、そういうものでしょう?
いつか泳げるようになるその時まで 誰かの支えが必要だって
みんなそのはずなのでしょう?
きっと大人になれば 下手くそなりにいつか
この海の中で泳げるような日を 苦しくても
一人で生きていける自分を 信じこんでいた
溺れながら
沈むことができないまま
優しい世界に 助けられたまま
沈むことができないまま
怠惰な僕は 溺れ続けている
口から溢れる泡が なんの意味もないように
僕は
エアコンの音と換気扇の回る音が周りを流れていく
テレビはつけないで
じっと命の終わるまでの時間を数えた
明日か 三年後か 五年後か
それとも五十年?
たかが十年前の昔話ならば
僕はこんな苦しい思いをせずに さっさと生き去って
とうに僕が終わっていたなら その手を放してくれたでしょうか
もっとあなたが冷たければ
優しい貴方のせいで 今日も僕は呼吸をせずにはいられない
口を開ければ流れ込む空気に咽びながら
決壊した涙が 流れ落ちる
ここは水の海じゃないから 僕はそれを見てしまうのだ
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