風呂敷

夢美瑠瑠

風呂敷


          掌編小説・「風呂敷」



  小説家 「タイムふろしき、というドラえもんの秘密道具を小道具に使って短編小説を書きたいんだけどね。アイデアが出ないんだ。何かないかなあ 」


 編集者A 「そうねえ・・・例えば、自分のお母さんを若返らせて二人でインセストタブーを犯すとか・・・ 大人の話だけど、ポルノとしてはいいシチュエーションかもね。それで妊娠したら、えーとつまり子供が兄妹になるわけよね。それでその娘を大人にしてまた子供を作ったら・・・孫が姪でもある、というややこしいことになるわけよね。面白いけど純然たるポルノになるわね」


 編集者B  「その二重の関係性をギャグにしたら話がふくらむわよね。いろいろ試しているうちに孫が親になったり・・・ 混乱して訳が分からなくなって三重、四重の関係に重複する親戚が増殖していって・・・そうねえ、例えば血族結婚で血が濃くなって、 突然変異のミュータントが生まれるようになって・・・とか? ゲームの「女神転生」みたいだけど、 ある法則性のもとで どういうミュータントが生まれるかとかが分かってきて、結果人類社会に大変革をもたらすとか・・・面白いじゃない?」


小説家  「こういう組み合わせだとすごく奇妙な子供ができるとかね、異常に知能が高い子供はこうして作るとかね。家族関係の組み合わせで遺伝子とかがどういう錯綜の仕方をするかということがだんだん明らかになっていって・・・で、これが本当の「家族計画」です、というオチとか。」


編集者A 「寧ろ、インセストタブーという概念に挑戦する感じが面白いかも。そういう新しい発見に嫌悪感を持つ保守的な人々が暗躍して子供をすり替えたりするので大混乱になって・・・結果的に人間というものが究極的に嫌いな凄まじい超常能力を持つ大魔術師みたいな子供が生まれて・・・「天上天下唯我独尊!」と叫んで人類をすべて葬り去るとか・・・」


小説家 「姦淫の罪を犯した罰があたるわけか。すごいようなアイデアだな。じゃあその線でちょっとアレンジでも加えて書いておくよ」


編集者A、B「よろしくお願いします」



<終>      

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