第499話 新年早々







「えっと、何事?」


僕に抱きついてくるまゆと下着姿でリビングに入ってきた春香とゆいちゃんを見ても何があったか全く状況がわからないのでとりあえずまゆを抱きしめながら春香とゆいちゃんに膝にかけていた毛布を渡す。


「春香ちゃんとゆいちゃんにいじめられたの!」

「まゆちゃん、りょうちゃんの前で人聞き悪いこと言わないでよ。りょうちゃん、違うからね」

「そうだよ。まゆちゃんが勝手に自爆しただけだから」


春香とゆいちゃんが慌ててまゆの言葉を訂正する。普段の様子を見てると春香とゆいちゃんがまゆをいじめるなんてことは絶対ありえないからとりあえず何があったのかを春香に聞いてみた。


「えっとね。まゆちゃんがお正月ムード出したいからって実家からお着物持ってきてくれてみんなで着ようってなったんだけど……えっと、その…私とゆいちゃんが帯締めると胸がすごくきつくて…それでまゆちゃん……」


あ、はい。察した。いつものね。新年早々かわいい揉め事だった。大体こういう風に不機嫌になったまゆは頭を撫でてあげれば機嫌なおしてくれるからまだ楽だ。とりあえず春香とゆいちゃんに服を着てくるように言ってリビングでまゆと2人きりになる。


「まゆ、機嫌なおしなよ」

「む〜」


頬を膨らませて不機嫌アピールするまゆかわいい。もっと頭撫でちゃう。


「せっかく持ってきたのに意味なかったし…新年早々、まゆの胸が小さいって認識させられるし最悪…」

「まあ、たしかにせっかく持ってきてくれたのに残念だね…それにしてもまゆはかわいいね」

「かわいいって言っても機嫌よくなんかならないからね」


そう言いながら口元がにやけているまゆが最高にかわいい。まゆのこういうところまじで好き。


「えー本当にかわいいって思ってるよ」

「はいはい。ありがと」


ますますニヤけてるまゆかわいい。かわいすぎてもっとかわいい。って言ったらもっとニヤけてるからもっとかわいいって言っちゃうよね。


「ねえ、何してんの?」


まゆを抱きしめながらかわいいって言いまくる僕とそんなことないもん。って言いながらニヤけるまゆを見てゆいちゃんが呆れた表情をしていた。


そんなゆいちゃんの表情を見て僕とまゆは冷静になり、お互いにちょっと恥ずかしさを感じたからかすぐに離れてしまった。


新年早々にバカップル全開のやり取りをしていたなぁ。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る