第352話 夏のデート
「ま、まゆ…えっと、その…まゆもめちゃくちゃかわいいよ」
アパートから車で2時間くらいの場所にある遊園地でデートをすることになっていたのだが、せっかくの夏休みだし、夏限定の遊園地のプールで午前中は遊ぶことにしていた。のだが……
一度、春香とまゆとゆいちゃんと別行動で更衣室で着替えを済ませたのだが……まゆの機嫌がめちゃくちゃ悪い。
いや、これに関しては…春香とゆいちゃんの水着姿を見て…その…ね。うん。2人の胸に目を向けていた僕が悪い。うん。まゆがめちゃくちゃ不機嫌になってしまうのも納得出来るのだが、まゆもめちゃくちゃかわいいのは事実なんだよ。水着姿もめちゃくちゃかわいいんだよ。
「どうせまゆはまないただもん。まないたなんか見ても全然嬉しくないよね…」
「そんなことないよ。まゆの水着姿、めちゃくちゃかわいいよ」
必死になってまゆのご機嫌取りを始める。ご機嫌取りと言っても事実しか言ってないからね。
「りょうちゃん…わ、私は?」
「春香もめちゃくちゃかわいいよ」
「りょうくん、私は?」
「ゆいちゃんもめちゃくちゃかわいい」
周りから見たらこいつらなんなんだよ。って感じだろうが、小中高の学校はとっくに夏休みは終わっていて、大学もぼちぼち夏休みが終わってたりするため、人はめちゃくちゃ少なかった。
なんとかまゆのご機嫌取りをして4人でプールに入る。
「りょうくん、私、泳げない……」
プールに入った瞬間、ゆいちゃんがそう言う。割と意外だった。興味本位で、ちょっとだけ泳いでもらったら本当に泳げなかった。脚をバタバタさせているのに前に進まないのだ。僕の隣でまゆが、「あの脂肪の塊が泳ぐ邪魔をしてるんだよ…」と割と怖い声で言うが、春香は普通に泳げるし違うだろう…
「ゆいちゃん、大丈夫?」
水中でバタバタしていたゆいちゃんの腕をそっと掴んでゆいちゃんの姿勢を安定させる。
「えへへ。私、泳げないからりょうくんと一緒にいる〜」
そう言って僕の背中に身体を預けておんぶ状態になるゆいちゃん。ゆいちゃんのその…柔らかいものの感触がめちゃくちゃ伝わってきてめちゃくちゃドキドキする。その様子を見てめちゃくちゃデカい舌打ちをするまゆがめちゃくちゃ怖い。
「ゆいちゃん、浮き輪レンタルしてきてあげるよ〜」
まゆがかわいいけどめちゃくちゃ怖い笑顔でゆいちゃんに言う。ゆいちゃんはちょっとだけ震えて僕の背中に隠れながら「いらないです…」と答える。
「ゆ、ゆいちゃん泳げないならさ、あっちの浅い方のプール行こう。そ、そうだ。あっちでビーチバレーでもやろう」
そう言ってゆいちゃんを運ぼうとすると、春香とまゆは動いてくれない。
「「りょうちゃん、3往復頑張って」」
笑顔でその場に残って僕を見送る春香とまゆ…この後、本当に1人ずつ背負って3往復しました。幸せだけど、疲れる。まあ、でも、こうしないと不公平だし、仕方ないか…
「りょうちゃん…さっきから目がやらしいよ……」
ボールを借りて4人で遊んでいるとまゆに指摘された。だってさ…き、気になっちゃうもん……
「まゆは見てくれないのに……」
あぁ。もう。かわいすぎかよ。
「まゆもちゃんとかわいいし魅力的だから、本当に自信持ちなよ。何回も言うけど、僕は今のまゆが好きだからね」
「えへへ。ありがと」
かわいいなぁ。そんな感じボール遊びを楽しんだ後、春香の要望でウォータースライダーをすることにした。2人用のやつがあったため、じゃんけんでペアを決めて、僕は春香と一緒になった。
「まゆ、ゆいちゃんをよろしくね」
「まゆちゃん…頑張って…」
「私を問題児扱いしないでください」
いや、だって、泳げないゆいちゃんがウォータースライダーとか不安じゃん…大丈夫だとは思うけどさ、最後に結構深いところに放り出されるわけだしそこで万が一溺れたりしたら……
「そんなに心配ならりょうくんが…」
「だーめ。じゃんけんで勝ったの私…」
そう言って春香がギュッと僕の腕を掴む。あの、柔らかいものが当たってます……
「りょうちゃん、デレデレしすぎ!」
まゆに怒られた。いや、これは仕方ないでしょ。男なら誰でもデレデレしちゃうよ……
そんな感じのやり取りをしながらウォータースライダーの順番待ちをして、先にまゆとゆいちゃんの順番が回ってきた。
僕と春香が2人きりになり、春香はギュッと僕の腕を抱きしめる。
「ど、どう?恋人…みたいかな……」
かわいすぎるよこの子…
「みたい。じゃなくてちゃんと恋人だよ」
「えへへ……」
昔、幼馴染みとして、プールに遊びに行った時、こうして2人でウォータースライダーをする機会はあった。今は、幼馴染みに加えて、恋人として…一緒にいられる。
もしかしたら、昔、2人でウォータースライダーをした時、春香はこれが、幼馴染みと遊びに来たのではなく、デートで幼馴染みとして、恋人として2人でいられたらな…と、思っていたのかもしれない。
僕がそうだったから。
あの時からずっと、春香のことが好きだったから。
だから、こうして、春香と昔みたいに一緒にいられて、昔よりも特別でいられることが、本当に嬉しくて、幸せだった。
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