第351話 出発まで






朝、目を覚まして、出かける準備をしていたらいろいろトラブルが発生した。目を覚ましてからゆいちゃんを起こすのが大変だったし、朝ごはんを作ってくれていた春香とまゆも調味料を切らしていたことに気づいて慌てて春香がコンビニに買いに行く。寝起きモードのゆいちゃんを正常にするために春香はゆいちゃんを連れてコンビニまで歩いて向かって行き、部屋には僕とまゆだけが残った。


まゆが料理を進められるところまでしている間に、僕は食器とかを並べてお茶やコーヒーを淹れる準備をしていた。


「まゆ、今のうちにゆっくり休んでおきなよ。今日も運転お願いしちゃうからさ…休めるうちに休んでおいて」

「うん。じゃあ、お言葉に甘えようかな」


まゆはそう言ってドルチェグストでコーヒーを淹れる準備をしていた僕の隣にやってきた。


「りょうちゃん、ソファー座って」


まゆにそう言われたので僕はソファーに座る。いつものように僕の隣に座ってもたれかかってくるのかな。と思ってたら違った。


まゆは僕の膝の上に座り、僕をクッションにするような感じでもたれかかってきた。


「もう少し柔らかければ完璧なのに」

「文句あるなら降りて」

「やーだ」


何この子…めっちゃかわいい。足をぱたぱたさせて、めちゃくちゃ幸せを感じているのがしっかり伝わってくるところとかめっちゃかわいい。あと、まゆの髪、めっちゃいい香り…同じシャンプー使ってるはずなのになぁ。


「あ、春香から連絡来てる」

「なんて?」


スマホが震えたのでスマホの画面を僕が確認しているとまゆが、「まゆにも見せて〜」と言ってくるので、まゆに見えるように、まゆを背後から抱きしめるような形でスマホの画面をまゆに見せようとする。


「胸とか触ったら怒るからね」


僕を揶揄うために意地悪で言ったのだろう。にやにやしながら意地悪顔で言うまゆがかわいい。


「ないものには触れられない……」

「何か言った?」


急にめちゃくちゃ怖い声を聞いてタブーに触れてしまった。と思い慌てて口を塞ぐ。


「え、えっと、お菓子いるか聞いてるね」

「話変えるな。さっき、まゆに何て言った?」

「ごめんなさい……」


これに関してはまゆのタブーに触れた僕が悪い。僕の配慮不足でした。


「まゆを抱きしめてくれたら許してあげる。抱きしめてまゆのご機嫌とってくれないと許さないから」


かわいいかよ。僕は迷わずまゆを背後から抱きしめる。まゆにかわいい。とか大好き。とか、いっぱい言う。ご機嫌取りなんかではなく、本心をまゆに伝える。そうするとまゆはあっという間にご機嫌になってくれる。


春香にお菓子ちょっと買ってきて。と返信をしてからもまゆはずっと僕をクッションみたいに扱う。


「このクッションが一番疲れ取れる気がする…」

「僕はまゆのクッションじゃありません」

「えへへ。知ってるよ」


何、この子…まじでかわいいな。 


「それにしても、まゆ、めちゃくちゃ軽いね」

「そう?」

「うん。膝に乗せてても全然重さ感じない」

「それは…まゆが痩せてるからだよね?む、胸がないから…その分の重さを感じないとか言わないよね?」


これも地雷だった。


「そんなわけないじゃん。まゆが軽くて僕も疲れないからさ、いつまでもこうしてまゆを膝に乗せておけるなぁ。って思っただけだよ」


自分でも何を言ってるか訳がわからなかったが、まゆは納得してくれたみたいで、「じゃあ、春香ちゃんとゆいちゃん帰ってくるまでりょうちゃんはずっとまゆのクッションね」と言われる。まあ、それくらい全然平気だし、まゆを背後から抱きしめたり頭を撫でたりしてあげられるし、僕としても最高だ。


そんな感じで、デートに出かける前から散々まゆといちゃいちゃして、あとでそれを知った春香とゆいちゃんからずるい。と言われて、出発までの時間、ゆいちゃんのクッションにされて、行きの車で春香の隣に座ることを条件に許してもらった。


朝からバタバタしていちゃいちゃして、なんかすごく幸せだった。でも、きっと、今から、もっと幸せな気持ちになれるんだろうな。と考えると、今からのデートがめちゃくちゃ楽しみで、まゆの車に乗り、4人でデートに出かける。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る