第226話 デートの終わり





「春香が風邪引くといけないし今日は帰ろうか」

「そうだね…」

「りょうちゃん、まゆちゃん、ごめん…」

「春香ちゃんは悪くないよ。調子乗ってはしゃいだまゆが悪いから謝らないで」


春香が謝るとまゆが申し訳なさそうに春香に謝る。僕は春香とまゆの頭を撫でてから春香とまゆと手を繋いで歩き始める。


「夜ご飯どうする?」


申し訳なさそうに黙り込んでいるまゆに僕は明るい表情で尋ねる。時間は夕方、春香の服が濡れていなかったら外食しようと思っていたが、それは無理そうだ。


「私、まゆちゃんが作ってくれるキムチ鍋食べたいなぁ。ちょうど冷蔵庫の材料で作れるはずだし」

「春香ちゃん……わかった。春香ちゃんが風邪ひかないように温かいキムチ鍋作るよ!」


季節は夏、かなり暑い気はするが、春香がせっかくまゆに気を遣って提案してくれたのだ。僕が水を差すのはよくないだろう。それに、まゆのキムチ鍋は本当に美味しいから夏でも美味しく食べられるはずだ。


まゆの車に乗る前にしっかりと靴に入った砂とかを落としてから僕たちはまゆの車に乗ってアパートに帰る。




「春香ちゃんはしっかりシャワー浴びてきな。ついでにもうお風呂入っちゃってよ。しっかり温まってきて。その間にまゆは夜ご飯作っておくから」

「うん。まゆちゃん、ありがとう。じゃあ、頼もうかなぁ」


アパートに帰り春香はすぐにお風呂場に向かう。


「まゆ、手伝うことある?」

「りょうちゃん。助かる!野菜切るの手伝って!」

「わかった」


まゆにお願いされて僕は白菜や人参を切る。まゆはその間にえのきや豆腐、ニラを切ったりしながらご飯を炊いてキムチ鍋のお湯を沸騰させて生姜やキムチ鍋、調味料などを使って味付けしてテキパキと調理をしていた。


「キムチ鍋だけじゃ暑いよね…」


まゆはそう言いながらキムチ鍋用に用意した豆腐を半分お皿に盛り付けて冷蔵庫に入れる。


「あれにキムチ乗せてキムチのタレかけたら冷たい一品完成なんだよ」

「めっちゃ美味しそう」


まゆの1分クッキングであっさりと出来上がる一品を想像して僕はお腹を鳴らしてしまう。まゆは僕を見て笑いながらキムチ鍋に野菜やお肉、豆腐を入れて味付けの味噌を入れて鍋の蓋をする。


「うん。あとは春香ちゃんが出てくるまで待つだけだね」


グツグツ煮込まれているキムチ鍋を見てまゆは火を弱火にする。その間に僕はテーブルに食器やガスコンロの準備を済ませていた。僕は鍋つかみを手につけてキムチ鍋をガスコンロまで運ぶ。


「りょうちゃん、お疲れ様」

「まゆこそお疲れ様。作ってくれてありがとうね」


ガスコンロの火を弱火にしてキムチ鍋をグツグツと煮込む。僕とまゆは並んでソファーに座って春香が出てくるのを待つ。




「りょうちゃん、まゆちゃん、お待たせ…」


帰ってから1時間半くらい、春香はめちゃくちゃのんびりとした入浴を済ませてリビングに戻ってきた。


「あー、まゆちゃんずるい」

「はいはい。変わってあげる」


まゆは僕の隣から離れてテーブルに向かいキムチ鍋の蓋を開けて味見などの仕上げ作業に取りかかる。


その間に僕は春香の髪をドライヤーで乾かしてあげる。


「久しぶりにゆっくりお風呂入れたよ〜」

「まあ、普段は順番で入ってるから長風呂しにくいよね」

「うん。たまにはこういうのも悪くないかも〜」


長時間お風呂に入っていた春香はポカポカした感じの雰囲気だった。春香の髪からはシャンプーのいい香りがする。………これ、キムチ鍋で匂いついてまたお風呂入るパターンじゃない?


結構匂いに厳しい春香はきっともう一度お風呂に入る気がする。


「りょうちゃん、春香ちゃん、もう食べられるよ」

「はーい。まゆちゃんが作ってくれたキムチ鍋久しぶりだから楽しみ〜」

「キムチ鍋だけじゃ暑いかなって思って冷やしキムチ豆腐も作ったよ」

「まゆちゃん最高!」


春香はめちゃくちゃ嬉しそうに言う。そんなに美味しいんだあれ…まゆ曰く豆腐とキムチの上にサラダチキンとかを少し千切って乗せると美味しさ倍増らしい。簡単なので是非試してください。


さっそく食べよう。となり、まゆはご飯をよそって冷蔵庫から冷やしキムチ豆腐を持ってきてくれる。僕と春香とまゆは椅子を横に3つ並べて座る。アパートで3人で食事をする時はいつもこうして3人並んで食事する。


キムチ鍋を食べる前に冷房をしっかり付けて空気清浄機もきちんと付けて匂い対策はしっかりする。


「「「いただきます」」」


僕たちは手を合わせていただきますをした後、ゆっくりと食事を楽しんだ。1日かけた楽しいデートの終わりはアパートでいつものように楽しく3人で食事をすることだった。





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