第3話 食後
「あ、片付け手伝うよ」
「あ、ありがとう…じゃあ、お皿とか運んでもらっていいかな?」
「わかった」
夜ご飯を食べ終えた後、春香は台所に向かい食器を洗い始めた。僕は春香に頼まれた通りテーブルの上に残っていた食器を台所の春香のところまで運ぶ。
「りょうちゃん、ありがとう。えへへ、なんか夫婦みたいだね。こういうの」
春香にそう言われてすごくドキッとした。大好きな人に夫婦みたいと言ってもらえてなんかすごく嬉しかった。まあ、実際は春香は僕のことを恋愛対象としてはみていないと思うが…家事は完璧にこなして頭もそこそこよくてかわいくて、スタイルもいい。おしゃれで優しい完璧な女性と言ってもいい春香が僕なんかのことを恋愛対象として見ているはずがない。実際、昔春香に僕のことどう思ってるか聞いたらかわいい弟みたいに思っているよ。と満面の笑みで返された。春香にとって僕は弟で恋愛対象ではないのだろう。
「りょうちゃん、片付け終わったよ。手伝ってくれてありがとね」
春香の手伝いが終わりリビングのソファーでポツンと座っていた僕に春香がエプロンを外しながら言う。そして僕の横に座り僕の肩にもたれかかる。
何これ…かわいすぎるだろ……
「お疲れ様。ありがとう」
「えへへ、これくらいどうってことないよ」
春香はそう言いながら僕の肩に頭を押し付けてくる。僕は春香の頭に手をそっと乗っけてゆっくりと撫でてあげる。いつも、春香が僕の肩に頭を押し付ける時は頭を撫でて欲しいという時だからだ。
「えへへ、こうやって頭を撫でてもらうのも久しぶりだなぁ」
春香は満面の笑みで嬉しそうに僕に言う。こうやって僕に甘えてくれる春香が僕は好きだった。
夜ご飯を食べ終えた後、僕は春香とリビングで一緒に過ごした。一緒に過ごしたと言ってもお互い無言でソファーに座りスマホをいじっていただけだ。はっきり言って少し気まずい、何か話した方がいいのかなとも思うが春香が嫌がるかもしれないと考えると話しかけずらい。やがて、僕と同じように春香もこの状況に耐えられなくなったからか春香が突然僕の肩にもたれかかってきた。
「ねえ、りょうちゃん、りょうちゃんはさ、私と一緒に暮らすの嫌じゃない?私はさ、りょうちゃんと一緒に暮らせることになって嬉しいんだけどさ、りょうちゃんは嫌じゃないのかな…って…」
春香は僕の肩にもたれかかったまま僕に尋ねる。何これかわいすぎ……
「嫌なわけないじゃん。最初両親から提案された時は驚いてつい反対しちゃったんだけどさ、よく考えたら一人で暮らすより春香がいた方がいい…いや、春香にいて欲しい…」
「そっかぁ…ふふふ、嬉しい。わかった。ずっとりょうちゃんと一緒にいてあげる」
春香は僕の肩に顔を押しつけながら言う。きっと、肩に押し付けられた顔は真っ赤に染まっているのだろう。そう思えるほど春香の顔は暖かかった。
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