第23話 JOIN⇐


「ハク……約束通り、このDAYBREAK夜明けに入団してもらえますか?」


(そ、そうだった……!

 対戦前、確かにそんな事言ってたな)


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「お前がもしこの騎士団にどうしても入りたくないというならば、2対2の練習試合エキシビションマッチをして、俺ら幹部二人組のうちのどちらか一方でも倒す事が出来たら考えてやってもいい」

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 俺は、練習試合エキシビションマッチ前のカリアス団長の言葉を思い出した。



「いや……でも、逆に俺が入ってここは大丈夫なんですか? Sランクの騎士団なら入団試験も相当──」


「そんなもの、貴方ハクには必要ありませんよ。そうですよね、団長?」


 ロキさんが鋭い視線を団長へ向ける。


「ああ、もちろんだ。これほど強い新兵、他のどこを探しても見つからん。いや、だが……やはり無理強いはしないぞ。最後はお前自身で決めてくれればいい」


(え、約束したのに……。

 団長は、なにか迷っているんだろうか)


 頷きながら、そう言ったカリアスさんは、ロキさんと一度目を合わせると、二人揃って一斉に俺の方へ視線を向ける。


 しかし、


「俺は……勧めはしないぞ、こんな騎士団」


 答えを促された俺ではなく、俺の隣で難しい顔をしていたレンヤさんが、責めるように冷たい目を二人に向けて、そう口を開いた。


「……」


 その場が再び凍りつく。


 その部屋には、ビーと微かに耳を触る小さな機械音だけが響き渡り、カリアスさんとロキさんの二人は必死に言葉を探すように、ずっと黙りこくっていた。


「ハクが『ファル』さんのようになっても良いんですか? 確実に狙われますよ。

 ……まあ、DAYBREAK夜明けを退団した俺には、もう関係ないと言われてしまえばそれまでですが」


(──っ! そ……その名前、どこかで)



「ファルの事は──」


 これまで言葉を詰まらせる事の無かったロキさんが、どこか寂しさに揺れる瞳を下にり、考え込むように次の言葉を選んでいる。


「ロキがそんな顔をする必要は無い。あれは全て俺の責任だと言ったはずだ。……レンヤ、悪いな。だからこそ俺たちは、ハクを入団させたいんだ。今のままの俺たちがGoddesses女神達を倒すには、余りに力が不足している」


Goddesses女神達……)


 その名前は、このゲームについてあまり詳しくない俺でも、十分に聞いた事があった。


 それは、このゲーム運営開始以来、無敗を誇る最強のSランク騎士団。

 そして噂によるとこのゲーム内で──


「ハク、頼む。

 俺たちにお前の力を貸してくれ!」


 いつの間にかレンヤさんから視線を外していたカリアス団長は、今度こそ俺に答えを促すように、迷いのない瞳で真摯に俺を見つめてくる。



 しかしその時の俺の心には、別のある一つの事柄が、ずっと引っかかっていた。



(……さて、どう答えようか)


「カリアス団長。少しお時間をいただけませんか?」


 練習試合エキシビションマッチに負けて、正直入団について悩む余地など無い筈の俺は、その時、どうしても気になって頭から離れない一つの事があった。


 団長は、その俺の言葉に少しだけ目を見開いて驚きを見せたが、すぐにその目は優しく俺を捉え直す。


「ああ、構わんぞ。ゆっくり考えろ。

 ……んじゃあ一旦、奴らの所へ戻るか」



 団長は、そう会話に区切りをつけて、フィンさんとランスのいる食堂へと戻るよう、その場の皆に言い渡す。


「あ、あのっ! それと……」


 しかし俺は、その動き出した流れを無理やり塞き止めるように、さらにもう1つ皆にお願いをした。



「……少しの間、ロキさんをお借りしても宜しいですか?」








        ……To be continued……

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次回:第24話 NIGHT⇐

✱最終改稿日:2020/11/01

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