第22話 PROMISE⇐
「おい、ハク! まさかこんな
カリアス団長は対戦直後なのに元気よく、爽やかな笑顔でそう言うと、床に腰を下ろしている俺に強靭な右腕を力強く差し出す。
「あ、いえ、こちらこそ」
「ん……それで、お前は
(……?)
俺は立ち上がると、初めて耳にしたその言葉に首を傾げる。
「やはり、自覚は無かったのですか」
すると、知らぬ間に俺の近くに立っていたロキさんが、何かに納得したように首を大きく縦に動かしながら口を開いた。
「え?」
「……どこからどう見ても、さっきの貴方は、“
「シーク……?」
「
このゲームの裏スキルの事ですよ」
俺は、あれが裏スキルだと言われて、あっそれか! とすぐに納得できるほどゲーム経験が豊富では無い。
キョトンとした顔をして、ロキさんに詳しい説明を促した。
それを見たロキさんは仕方ないですね、とでも言いたげに、ふぅ、と息をついてから身体の前に腕を組み、壁に背をつけ目を瞑る。
「あれは……まだ
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[
それは【
騎士ユーザーのステータスⅠが、□□□□を超えた時、それは取得可能となる。
そして、その条件を満たした騎士が△△△△の場所へ行き、〇〇〇〇の行動をとった時、それは完全にその騎士ユーザーの物となる。
シモン・リュイ『(新)騎士道の書』
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「……まあ結局この時は、このゲーム内に
(
「え……じゃあ、なんで俺が────」
「こちらがお聞きしたいくらいですよ」
ロキさんが、俺の質問をいつもと違う冷ややかな声で遮る。
(……ということは、俺のあのスイッチはこのゲームのスキルだったのか。ははっ、俺はてっきり、ゲームの世界に浸りすぎると人間は二重人格になってしまうもんなんだ、くらいに思ってた。ん……いや、だとしても、そんな裏スキルなんて手に入れた覚えは──)
知らず知らずのうちに手に入れていたそのスキルに、不思議と恐怖はなかった。
「しかし、おかげで何となく、
ロキさんの声はもう、いつも通り妖艶で色気のある声に戻っている。
「ほ……本当か! ロキ」
「ええ、恐らく。団長、ハク、
「え……いいですけど」
「え……別に構わんが」
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ユーザー名:カリアス
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ユーザー名:ハク
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「ええ……やはり、そうだと思います」
レンヤさんとシオンさんを含めたその場にいる全員が、
長く沈黙が続いた。
しかしロキさんは、フッと一瞬だけレンヤさんの方に目をやると、
「まあ、お二人は選ばれし人間だという事ですよ。──ふふっ、やはり、細かい事はまた今度にしましょうか」
そう言って、全員の期待を裏切った。
「それより、ハク。
約束は守って下さるのでしょうね?」
何事も無かったかのように完全に話を変えたロキさんは、今度は俺に視線を移し、わざと脅すような声でそう言って笑いかける。
「え……約束? あっ!」
それまですっかり忘れてしまっていた。
俺の今後に関わるそのとても大事な約束を、俺はロキさんにそう言われてやっと思い出したのだった。
……To be continued……
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次回:第23話 JOIN⇐
✱最終改稿日:2020/11/01
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