第20話 SECRET⇐
〔シオン……伏せろ!〕
〔え……〕
──ドサッ
カリアスの言葉も虚しく、シオンは引く事すら出来なかった矢を片手に、その場で膝から崩れ落ちる。
【現在の獲得ポイント:3000】
ポイント獲得形式の
しかし、今のハクにとってその復活までの5秒は、あまりに長すぎた。案の定、目の前に倒れたシオンをハクは躊躇なく攻撃し続ける。回復が追いついて復活出来ないよう、繰り返し繰り返し弓使いの女騎士を拳や蹴りで痛めつけていた。
【現在の獲得ポイント:20000】
〔……団、長〕
──ドォォン
突然部屋に響き渡ったのは、斧が地面を割った音。そしてそれは、カリアスが騎士としてあるまじきハクの戦い方に対して、憤りに身を震わせ、本気を出した合図でもあった。
それを外野で見ていたロキの口元に微笑が浮かぶ。
「ふふっ、久しぶりに団長の本気が拝見出来そうですよ」
「……いや、これは笑い事じゃないだろう」
カリアスは、シオンを痛めつけているハクの背中目掛けて、その重さを感じさせないほど素早く斧を水平に振りかざす。
そして、空気を真っ二つに切り割く音が辺り一面に響いたと思うと、その後しばらく2人の残像だけが部屋全体を動き回っていた。
しかし、Sクラスの騎士団長カリアスの全力をもってしても、今のハクを簡単に止める事は出来ない。
「せつ」
「せつ」
[発動スキル:移動系★★★──
[発動スキル:移動系★──
〔……なっ!〕
カリアスは対峙している男の恐ろしさを再度目の当たりにし、思わず体力を無視して、もう一段階ギアを上げ、ハクの隙を
それは、完全なる一騎打ち。
残りのレンヤとシオンは、目で追う事すら出来ないその戦いをただの傍観者としてじっと待っている他無かった。
ハクは微かな音も出さずにカリアスから逃げるように点々と移動する。一方のカリアスは、体力の限界が近づくのを感じながらも、その男を追いかけない訳にはいかなかった。
(同系統スキルを一人で同時に2つ!
……普通ならありえない)
〔こいつ……まさか〕
その時カリアスの頭には、目の前で相手にしている男の変貌ぶりを説明できる、ひとつの答えが浮かび上がってきた。
〔……
「おい、ロキ! あいつ、まさか……」
「ええ、恐らく、ナツの予想通りですよ。
彼が自覚しているのかは分かりませんが、
「そんな、
「ふふっ……ようやく十分の一ですね。
どうです、
ナツの隣に立つロキは、まるで全てを知っていたかのように、いつも以上に妖艶に細められた目で、ハクの姿を見据えている。
(やはりあれは……)
[
(ようやく見つけたこの人材をここで逃すわけにはいきません。団長には、勝っていただかないと……)
「おいおい、団長負けちまうんじゃねえか?」
「ええ……まあ、そうでしょうね」
(一騎打ちにおいて、
そう、ロキにはこの対戦の結果もまた、容易に予想出来るものだった。
「……でもそれは、団長が
……To be continued……
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次回:第21話 GEAR⇐
✱最終改稿日:2020/11/01
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