第16話 SETTING⇐


「まず最初に言っておこう。俺は不正というやつが大嫌いだ。だから設定は俺がするが、どちらかを優遇するような条件設定は決して行わないとここに宣言しよう」


 そう言って胸を張ると、カリアス団長は俺達の前で全体設定を開始する。


※今更だが、練習試合エキシビションマッチとはステータスⅡのスキル能力を反映させず、条件を揃えて行う試合バトルの事である。


 

 練習試合エキシビションマッチ1戦目


[今回の練習試合エキシビションマッチの全体設定]

・対戦人数:2▲▼ VS 2▲▼

チーム1『ハク』&『レンヤ』

チーム2『ロキ』&『ナツ』


(まずは、ロキさんとナツさんのペアだ!)


・対戦形式:『選択してください』

〇バトル形式

〇ポイント獲得形式

●拠点奪取形式

〇……


(お! 拠点奪取形式(※)……、珍しいな)

※相手の拠点にある旗を奪った方の勝ち。


・制限時間:無制限 △▼


・スキル系統制限:『選択してください』

〇なし

●各自1系統ずつ選択

〇各自2系統ずつ選択

〇移動系のみ使用可能

〇飛行系のみ使用可能

〇感覚系のみ使用可能

(☆上限:★★★★★まで)


(使っていいスキル系統は1つか。拠点奪取形式で有利なのは──)


・装備制限:『選択してください』

●なし(装備無し可)

〇なし(装備無し不可)

〇盾不可

〇弓不可

〇短剣、投げ槍不可

〇それ以外の装備不可→選択へ

(所有上限:2▲▼)


『【確認】この内容でよろしいですか?』


YES⇐

NO


────── Now Loading……──────


 カリアス団長がパパっと全体設定画面の入力を終えると、次は個人設定画面が俺達の目の前に現れた。


 俺はレンヤさんと作戦を練りながら、スキル系統や装備を決めていく。


「2人で自分の拠点を守りながら相手の拠点を奪いに行くとなると、攻守を分けた方が連携が取りやすそうだな。基本的にレンヤは守りで、お前ハクが攻めに行く形でどうだ?」


(さすが騎士団少尉。

 状況の飲み込みが早く、指示も的確)


「はい、それで良いと思います」


(俺の役割は相手の拠点から旗を奪う事)


『ハク』

・装備:『選択してください』

●剣(短剣可)

〇槍(投げ槍可)

〇盾

〇……


・スキル系統:『選択してください』

〇移動系

●飛行系

〇感覚系


 俺が攻め重視の個人設定をする一方で拠点を守るレンヤさんは、無難に装備は盾、スキルは使い慣れてる感覚系を選択する。


(よし……後は相手の出方次第)


 俺は個人設定を終えると、相手のチームの方に顔を向けた。


「ははっ、何言ってんだ? ロキ」

「はあ……これだから、貴方は」


 ロキさんとナツさんはすでに個人設定を終えていたのか、対戦前とは思えないほど緩んだ雰囲気で談笑している。


──ピピッ


『全ての設定が完了しました。

 これより、練習試合エキシビションマッチを開始します。まずは両チーム共、自分達の拠点位置を決めて旗を立ててください』


 俺達は青色の幾何学模様に囲まれながら、学校の体育館ほどの大きさのこの直方体の空間で、なるべく奪われにくいかどに拠点を置く。そうすれば、守るべき範囲も前方90度で済むと考えたからだ。


 □←ロキ&ナツ?  □


      +    


 □         ■←ハク&レンヤ



 そして、当然相手もその対角に拠点を置き、互いに一番遠くにある旗を力ずくで奪いに行く構図を俺は想定していた。




 そう、俺は知らなかった。


 このゲームの中の約38万ある騎士団の中で、Sクラスの騎士団が一体いくつあるのか、そして、その数少ないSクラスの騎士団の副団長と軍師という役職がどれほど凄いものなのか。


 俺は何の覚悟も無く引き受けたこの対戦で身をもってそれを知る事になる。



「ではナツ、いつも通り参りましょうか」

「おう、もちろんだ。相棒ロキよ」









        ……To be continued……

────────────────────


次回:第17話 COMBO⇐

✱最終改稿日:2020/11/01

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