第7話 YOU LOSE⇐


 翌朝──はい、もちろんバトルコロシアム決勝戦。


【決勝進出者】ステータスⅡ


❶ アレックス 【Lv.???】(装備)剣・盾

  職業:騎士     

  称号:斬りたがり

  階級:少尉 〈night mare(※騎士団名)〉

  スキル:移動系 ☆☆☆

      飛行系 ☆☆☆☆☆

      感覚系 ☆☆


❷ タクヤ 【Lv.???】(装備)槍・剣

  職業:騎士

  称号:スピードスター

  階級:曹長 〈休日出勤(※騎士団名)〉

  スキル:移動系 ★★☆☆☆

      飛行系 ☆

      感覚系 ☆☆☆


❸ ハク 【Lv.MAX】(装備)槍・盾

  職業:騎士

  称号:見習い騎士

  階級:新兵 〈未所属〉

  スキル:移動系 ☆☆☆☆☆

      飛行系 ☆☆☆☆☆

      感覚系 ☆☆☆☆☆


❹ テンヨウ【Lv.???】(装備)鎧・盾

  職業:騎士

  称号:守護神

  階級:大尉 〈White Tiger白虎(※騎士団名)〉

  スキル:移動系 ☆☆☆

      飛行系 ☆☆☆

      感覚系 ★☆☆☆☆


※☆☆☆☆☆☆ = ★☆☆☆☆


『決勝戦はバトルロイヤル形式※で行います。

 勝敗のルールは予選と同じ。現実世界で死を与える程のダメージを相手に与えたユーザーの勝ち! 判定は今回もわたくしが務めさせていただきます』


※複数の人数が戦い、最後まで残った一名を勝者とする試合形式。


 予選とは比べ物にならないくらいの大歓声に、会場全体が激しく揺れ動く。


(このどこかでロイドさん達見てるのかな。

 ああ、なんか……学生時代の授業参観みたいで少し……うん、謎の緊張)


 ぐるりと一周見渡して、観客席から視線を会場の真ん中へと戻した俺。


 そしえ、ロイドさんからもらった槍を右脇にしっかり挟み込み、盾を堂々と前に構えて、馬上からひとりひとり対戦相手の特徴を確認していく。


(まずはAブロック『アレックス』)

彼は彫りの深いいかにも西洋風の顔立ちをしているのにまさかの和装。握る剣も限りなく日本刀に近い。多分あれだ。現代日本にまだサムライがいると信じているタイプの西洋人だ。──ってそうじゃない。これは勘だけど、彼はきっと好戦的。だから一騎打ちになったら相手の出方を待つのが得策か。


(次にBブロック『タクヤ』)

彼は絶対日本人。堅苦しそうな風貌からして戦闘も保守的かと思いきや、守る装備が見当たらない。つまりスピードと体力には自信ありってところだろう。対戦開始直後何かを仕掛けて速攻で決めてくる可能性もあるな。出だし要注意だ。


(でもやっぱ本命はDブロック『テンヨウ』)

彼は背が高いだけじゃなくて、なんと言うかデカい。まさに鉄壁。装備も守りに偏っている。それと、噂によると大尉らしいし。なるべく彼との一騎打ちだけは避けたいが、そうなってしまっても体が大きい分、きっと弱点も多いはずだ。


(で、結局俺は誰のどこから崩していくのが一番良いかなぁ。んーっと……んーっと、うん。それにしよう!)


 なんとなくの作戦を練り終えると、俺は口元にニヤッと笑みを浮かべた。



 ◆



『さあ皆さん! 準備はよろしいですかー?

 それでは始めますよぉ! 対戦開始バトルスタート


 それまで以上の割れんばかりの大歓声が会場を渦巻いて、待ちに待った決勝戦が幕を開けた。


 その合図と共に、まず俺はさっき思いついた作戦①に出る。


・作戦① 『テンヨウ』の少し後ろに立つ。


 それを作戦と言うのも烏滸がましい。これは所謂いわゆるデカい人を盾にするという卑劣ひれつな戦い方。


 そうして俺は、アレックスとテンヨウがつぶし合っている後ろから、タクヤが奇襲を仕掛けようとしているのをじっくりと眺めていた。


 俺は背後で息を潜めて、3人がつぶし合うのを待つ。そこで作戦②の準備。


・作戦② 3人のうち誰かが弱ってきたら、


──バキッ!!


(ん? ……あ、やば)


[発動スキル:感覚系 ☆☆☆☆ ── 感知かんち

 

 テンヨウがスキルで俺に気付き、盾を振りかざしてきた。しかし、その巻き添えを喰らったのは、なんと奇襲を仕掛けようとしたタクヤ。


 タクヤは顔面に、鉄で作られた大きな盾の端をもろに喰らって身体からだ全体をグラつかせる。


 そしてその時、手柄を横取りする為にタクヤへととどめを刺しに行こうとしたアレックス。……それを見逃すはずがない。俺は次に彼の背後に回った。


(ぃよし、来た!)


 俺はタクヤの胴体に剣を刺そうとした、アレックスの胸部を槍で突き刺した。


 グサッと槍の貫通する音と共に、前方からももうひとつ同じ音が聞こえてきた。


──ピピッ


 タクヤとアレックスの前に、ほぼ同じタイミングで出た『YOU LOSE』という表示。


 そう。そんなこんなで俺は、運良く最初に考えた作戦を大きく外れる事なく、テンヨウとの一騎打ちを迎える事となったのだ。



 相手は鎧と盾でがっちりと防御を固めた、どこか強い騎士団の大尉である。かたや俺は無名で騎士団未所属の新兵だ。


(さあ、勝てるか? ……ここからが本番)








        ……To be continued……

────────────────────


次回:第8話 SKILL⇐

※最終改稿日 2020/09/30

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