第50話「幼なじみはやっぱり最高?」

「言っとくけどなにもでてこないからな」

「それでも男なの?」

「全員が全員男が持ってると思ってるならちょっと改めたほうがいいぞ」

「オッケー分かった」


 軽いなおいっ! こやつは全然聞き耳持ってないな。

 購入は割愛。速攻で帰宅すると、リラックスした格好の美沙が笑みを浮かべてきた。


「あ、早かったね」

「ここは美沙の部屋かっ」


 しかも、お茶してる。こぼしてたらどうしてくれようか。


「幼なじみの部屋は幼なじみのもの」

「クソ理論やめろし」

「待ってる身にもなりましょうか」


 さっき早いねって言ったやつはどこにいったんだよ。

 ていうか、別にお化け屋敷後は約束の範囲外じゃないの?


「正直待ってる意味はないのでね?」

「あー、そういうこと言うんだ。チクろうかな、あることないこと」

「お待ちいただいてありがとうございます」

「くるしゅうない」


 ここで変なこと言われたらヤバい。

 しかも、紗衣ちゃんに俺が好きだってと虚言されてみろ。

 明になにされるか分からない。


「じゃあ、そんなわけで早速ゲームやろうぜ」

「どんなわけなのお兄ちゃん」

「気にしたら負けなこともあるんだよ妹」

「まさかゲーム忘れちゃうとは夢にも思わなかった」


 明の発言に腹を立てたのが表情を見て分かったので話をゲームへシフトした。

 ウチでケンカされるのはやめてもらいたいからな。


「これが欲しくてバイトしたのにな」

「今回ばかりは明に感謝だわ」

「まぁ、共有は大事よ」

「おし、早速やってみようぜ」

「あ、私これやってるよ」

「は? マジで」

「なんで嘘つく」

「まぁそうか」


 そういえばさっきやってるって言ってたな。

 リズムゲームだけど、美沙は苦手だったはずだけど。


「どのくらいやってるんだ?」

「てっきり凪がやってると思ったからやり込んでた」

「それは、なんかすまん」


 嬉しいことを言ってくれる。

 俺がやるって分かって購入してやり込むって幼なじみはやっぱり最高か?


「いいよいいよ。なんかおごってくれれば」

「お、おう」

「んで、初期にやっておいたほうがいいところ特別にアドバイスしてあげる」

「お願いします!」


 ホントのこといえばアドバイスなんていらないのだけど、ここでそう言ってしまっては空気の読めない人である。


「そんなにやることあるんですか?」

「んー、無いこともない」

「……どっち?」

「どちらも」

「あ、もういいです。お茶飲んでます」


 答えになってない回答に紗衣ちゃんは諦めてコップを持った。

 これで仲良ければもう少しボケに付き合ってくれるんだろうけどな。

 頑張れ美沙。


「早く教えてくれ」

「まず最初からグイグイ行くと大抵信頼得られないから」

「ずいぶん凝ってるゲームですね」

「前はそんなことなかったんだけど」

「いいじゃないか。リアルで」


 いや、リアルっていうのはいいことなんだけど。

 選択肢の難しさまで現実と変えなくてもいいと思う。

 リアルが苦手だからこういうゲームでシュミレーションしてるのに……。

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