Day22

朝来たー。


身支度したらそそくさと洞窟へ。

薬草気になるもん。


スリットの方の薬草は、完全復活だね。

そして密閉した方は…ぎゃー!やっぱりしおれてる。

洞窟の壁に穴掘って入れた方も、外から持ってきた箱の方もしおれてる。


空気か?空気なのか?

…まさか、空気中の魔力?

試しに、魔力感知全開で洞窟を出入りしてみた。

うーん、ほんのちょっとだけど、洞窟の方が周囲から感じる魔力、高いか?

気がする程度の微妙な違いだ。

でも、それならいいものあるよね。

ダッシュで奥行ってぷすり、核持ってきました。

普段なら密閉できる箱に入れるのが当たり前なんだけど、手づかみのままむき出しです。

これ、箱に入れたら薬草ちゃん元気に………………。


…すいません、呆けました。

薬草ちゃん、動いてます。

まだ、核、箱に入れてないのに、手に持って箱の前に立ってるだけなのに、しおれてた葉っぱがゆるゆると持ち上がってきます。

まじかー、こんな微妙な違いで君ら育つの?水晶も反応しないレベルなのに…。

魔力感知にたけた私が、感知力最大にして分かるかどうかだよ。

そうだ!

核を箱の中に入れ、スリット横の密閉してた薬草前に来ました。

よく見ると、ちょっとづつだけどしおれた葉っぱが上がって来てるね。早く実験しなきゃ。

手から魔力放出!

わさわさわさ

うわー、私の魔力でも回復するー。

これなら、核置いとけばどこでも薬草栽培出来るよね。

やったね。


薬草実験は結果が出たので、箱の中の薬草ちゃんを取り出そうと戻ってみれば…。

すっげー緑色濃くなってる。

しかも、隣に新しい芽が出てるよ。

タケノコも真っ青の成長率だよ。


でも、母ちゃん言ってたな。

緑色が濃い薬草から作ったポーションは、回復力が高すぎるから飲ませる量に注意しないと、ケガや病気の程度が軽い患者さんは苦しむって。

そろそろ核、しまっとこう。

にゅふふ、これで薬草畑が出来る。

でも、外だと核の魔力が拡散しちゃうからもったいないよね。

よし、洞窟内に薬草畑作ろう。

あ、照明どうしよう。

オイルランタンだと暗いから、いっぱい要るね。

そうなると、酸素大丈夫か?

換気が大変そうだな。

ん?あれ?私、毎朝換気日課にしてるよ。

じゃあ、どうして洞窟内の魔力、濃いの?

換気不足?

ぐぬぬ、また謎が…。


水晶ランタン用の核から漏れてるのかな?

核、全部洞窟から撤去すれば…って、奴らがいる!

あいつらかっ!!

あいつら、魔力感知で簡単に見つけられるほど魔力高いやん!

お漏らししてんのかよ!

うわー、確証無いけど、合ってたらやだな。

だって、薬草生えてるところにはあいつら居るもん。

くううっ、納得いかねえっす!

薬草生えるのが奴らのおかげなんて、認めたくない!

あ、あいつら飼えば、薬草生えてくるかも。

でも、やっぱやだ!


くそう、意地でも違う原因見つけてやる!

ちょっと感情的になりつつ、通りかかった晶洞エリアで、ふと思った。

水晶、魔力の発生源なら少しは反応しない?

一本採ってこ。

で、やってきましたトラップタワー。

あははー、なんてこったい。

魔力感知全開ならわかる。

ダンジョンの壁、魔力漏れてる。

君かぁ…。

水晶をダンジョンの壁にくっつけてみたら、ほのかに光りました。


でも、これじゃあまだ奴らの有用性を否定できてない。

トラップタワー処理部の、スライム檻の底に水晶置いて、真っ暗にして待ちます。

待つことしばし、奴が落ちてきました。

ぎゃー、ほんの微か、微々たるものだけど、スライムの下敷きになった水晶、光ってる。


ぷすり

ぎゃー、目が、目が…。

奴の核が、落ちる時に一瞬だけ水晶に触れてフラッシュみたいに光った。

ちくせう…。


あ、よく考えたらさ、核のすぐ近くだから水晶反応するのあたりまえじゃない?

今ね、核が檻から下に抜け落ちてるんだけど、水晶光ってるよ。

ほぼ水晶ランタン状態で。


ダンジョンがスライムの核を作ってるんだから、薬草はダンジョンが育ててるんだ。

さっきスライムに触れた水晶は殆ど光らなかったから、むしろスライムは核の魔力を覆い隠してる悪いやつだ。

うん、これで納得しよう。


でも、傷の無い核は魔力漏れないとかも考えられるよね。

残念ながら傷なしの核は手に入らないんだよね。

ヤットコみたいので抜き取ろうとしたことあるんだけど、挟んだ時点で傷付くみたいで、スライム消えたし。

スライムは焼くなって父ちゃんに言われてるから、火あぶりもダメだしね。

あ、父ちゃん曰く、スライムを焚き木に押し付けたら、すごい臭くて目が痛くなったんだって。


まあ、結局薬草はダンジョンのおかげってこと……ねえ、これ、マズくない?

薬草、東の森にもあるよ。

スライムが魔力運んでないんだとしたら、東の森に、ダンジョンあるんじゃ…。

はっ!そういえばここのダンジョン、中央のダンジョン入口からはかなり離れてるよ。

勝手に中央のダンジョンの端っこくらいに考えてたけど、遠すぎない?

まさか、ダンジョンっていっぱいあるの?

…どうしよう。隊長さんに相談した方がいいかな。

いや、根拠が弱すぎるよね。

とりあえずここの上の地上、確認しに行こう。

私の感覚だと、岩だらけで普段は誰も入らない場所だと思う。

うん、今の私なら行けるよね。

よし、行ってみよう。


外に出たらお昼近くになってた。

結構洞窟内で時間食ったみたい。

籠無しの森用装備して出かけようとしたら、ソード君来た。

およ?レベルアップはしばらくお休みだよ。


「ソード君、昨日はありがとう。今日はどうしたの?ぷするのお休みでしょう?」

「ああ、借り返してるだけだから気にすんな。今日はレンガ作り手伝おうと思って」

「おお、ありがとう。でも、今から出かけるんだ」

「森か?」

「あー、森だけど、目的は薬草じゃないよ」


さっき考えてたダンジョンの事話したら、一緒に行ってくれるって。

しっかりお昼持って来てくれてたから、食べてから出かけます。

崖の上へは小山の滝の横から登ります。

てい

2mくらいジャンプして崖の上に。


「うお!すごいなお嬢」

「多分ソード君も出来るよ。体内の魔力、足に集中するようにして思いっきり跳ぶの」

「お、おう、やってみる」


しばらく眉間にしわ寄せてたけど、やがてジャンプするソード君。

おしい!ちょと跳び足りなかったから、途中から引っ張り上げました。


「こんなに跳べるようになってたなんて…」

「これも魔力制御のおかげだよ。できないと体内の魔力、動かせないからね」

「魔力制御すげえ…」


岩だらけの場所をパルクールしながら探すこと、約1時間。

見つけました。

岩と岩との隙間の奥にダンジョンの入り口発見です。

岩石地帯の西寄り。

中央の森から西の森へさしかかった付近だね。

魔力制御の甘い兵士さんたちだと、森から来た方が早いね。

でも、この場所だと、中央のダンジョンじゃないね。


中に入ると、やっぱり壁、光ってます。

たまに出てくるスライムを私が倒しながら進むと、10分ほどで広間っぽいところを見つけました。

中央のダンジョンより短いよね。

遠目に、スライムたちがうごうごしてるのが見えます。


突入。

私が部屋に入り、ソード君には私の背後を任せます。

20匹くらいかな。

部屋も中央のダンジョンより狭いや。

数分もかからず、討伐終了です。


「お嬢の動きといい、その剣の切れ味といい、すごいな」

「でも、動きは見えたでしょ」

「ああ、技の繋ぎが滑らかだ。練習の手本にする」

「そう?まあ、いいけど。ソード君は2匹?」

「ああ、飛び掛かってきたのだけ倒した」

「あと62匹だから覚えといてね」

「わかった。…さっき来るときにやってた体内魔力の移動、あれも練習課題か?」

「うん、そろそろ出来ると思って。算盤で魔力の細かな動かし方覚えると、体内魔力を筋肉と連動して使えるようになるの」

「道理で朝の鍛錬より動きやすかったわけだ」

「それを無意識に出来るようになれば、私が教えられることは無くなるね。私は剣士じゃないから、技とか考えるの無理だし」

「…無意識って、先は長そうだな。ちなみにお嬢はどのくらい跳べんの?」

「5回目の祝福の後は5、6mはいけたと思うけど、着地が難しいからやってないんだよね」


レベル5くらいのころ、遊びで飛んでて着地失敗して服汚しちゃったから、今はやってないんだよ。


「まじか!?まだまだ先があるな。ところで、何やってんだ?」


一緒に核を拾い集めてくれたソード君、私が部屋の中央でごそごそしてるのが気になったらしい。


「嫌がらせするの。水晶ランタン置いといたらスライム生まれなくなるかと思って」

「あー、やってみる価値あるな。でも、核って3日くらいで無くならないか?」

「うん、だから核入れ増量のランタン作ってきたよ。今日、倒した分、全部入れとくの。それに毎日見廻ろうと思ってるから」

「ああ、確認は必要だな」


二人で小屋に戻って、湧き方に変化があるかもと、まずはトラップタワー確認。

湧いてる。増量水晶ランタン用の核取るのにぷすったから、1時間くらいで2匹も。

今までは1時間で1匹出るかどうかだったのに。


「これ、溢れないか?」

「うん、多分だけど小広間で湧けなくなった分も、こっちで湧いてるんだと思う。ちょっと改造するよ」


二人してトラップタワー改造しました。

容量ほぼ3倍。

まあ、落下用の管の幅を広くしただけだけどね。

何匹いるか分かりにくくなったけど、ぷすれば分かるしね。


改造しながら相談したんだけど、あと数日だけ、岩山ダンジョンの存在は伏せることになりました。

理由は水晶ランタン。

もうすぐ王都から返事が来るはずだから、もし人体に影響無いと分かったら一緒に話した方がいいもんね。

数日は見廻り強化しよう。

ソード君も一緒に見廻るって言ってくれたしね。


少しだけレンガ造りの練習して、ソード君は帰って行きました。

ソード君を見送った私は、夕食作りです。

今日はね、昨日村で買ったイノシシのお肉でステーキだよ。

冷暗所で一日置いてから食べろって言われてたから、食料庫で寝かせてたんだよ。

暖炉の上の鉄板で直焼きして食べました。

お肉うまー。


就寝前にぷすりにいきます。

やっぱり増えてるねー。

ぷすぷす……


では、おやすみなさーい。

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