御伽噺のような、どこか身近で日常の隣にありそうな、不思議な雰囲気を持ったファンタジーです。
中心となる人物は、魔女のルナ。深い森に住む薬草師で、少女一人と少年一人が彼女と一緒に暮らしています。ルナの薬を頼りに、あるいは事情を抱えて助けを求めに、魔女の家を訪れるのは、人間だったり人外だったりと様々です。
どんな相手でも優しく受け入れ、惜しみなく「好き」を向け、そうして周囲を癒してゆくルナ。しかし彼女自身が抱えている事情も重く、時にはそれゆえに危険にさらされもします。
元気な少女エクラと、大人しいけれど芯の強い少年ノクス、ルナと縁の深い魔法使いたち、王都の人々、森のひとではないものたち……、時に助け、時には助けられ、日々を重ね、やがて大きく輪を描く物語。
各章ごとにエピソードはまとまっており、全体で文庫本一冊ほどの、読みやすい作品です。
優しい魔女のたどりつく場所を、見届けてみませんか?