しおりの代わりに
時をかけすぎた少年
第1話 理想
今年、高校一年になる僕は高校生活にあることを期待していた。それは色恋沙汰と屋上が解放されていることである。
少女漫画の見すぎと言われれば仕方はないが僕は色恋沙汰が盛んで屋上が解放されていて、楽しい高校生活が送れるのが当たり前だと思っていた。と言っても根拠はないのだが。
しかし、現実は違った。屋上は危険だと言う理由で解放されておらず屋上に繋がっている階段には立ち入り禁止のテープ。ドアには鎖がぐるぐる巻きにされていた。
色恋沙汰はこの二年間過ごして何も起きなかったのだ。残りは高校三年の一年間。
しかし、夏休み明けから受験勉強にみな、本腰を入れる為そんな余裕はあまり無いだろう。
僕の高校生活は薔薇色ではなく結局の所、灰色だったのだ。なぜ、自分が昔から人付き合いがあまり得意ではなくて大人しい性格で協調性が無い事を忘れていたのか。それもまた少女漫画や青春小説の読みすぎで高校に対する理想が大きすぎたのだろう。
高三に僕は少なくとも今までよりは濃い一年間を過ごすことになる。図書室にある一冊の本を通して。
しおりの代わりに 時をかけすぎた少年 @kokage
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