第7戦 引越し(更新)
設定変更致しました。
幼馴染は生き返ります。
学校も終わり、今日は1人で帰った俺は誰もいない家でライトノベルに浸っていた。
春ということで、ココ最近はラブコメをよく読んでいる俺。
自分は恋愛する気はないのに、ラブコメを読んでいるとなんかむずむずする。
元カノが義妹になる話とか、日本一のゲーマーがリア充目指す話とか、世のラブコメ作家はよくそんなこと発想が思い浮かぶなぁ。俺にはそんな発想力はない。
ベッドで横になってラノベを読む俺。
その姿はただのオタクである。
俺の家は一軒家で、家族構成は母、父、そして姉貴が1人。姉貴は大学生で、一人暮らしをしているので、実質俺の家は3人しかいない。
それと一応、
オタクの俺にも幼馴染というものがいた。
名は若月若奈。俺の右隣の家に住んでいた女の子だ。若奈は頭がいいので、東京の方の偏差値が高い高校に通っている。向こうでは一人暮らししているらしい。久しぶりに顔がみたいもんだ。
んで、
左隣には新しく新築が建ち、最近は何やらガヤガヤと騒がしい。おそらく、そこに住むであろう人達がいろいろ話しているのであろう。たまにラノベタイムの邪魔になったりするので、さっさと住み込んで頂きたい。
「どうせなら恋愛には発展しなさそうな美少女とか来て欲しいなぁ…」
恋愛はしないけど、美少女を見る分にはただの目の保護なので是非来ていただきたい。
そんな煩悩とともに、ラノベにふける俺だった。
◆◇◆◇
「いただきます!」
「いただきます」
現在は晩御飯。今日の晩飯はカレー。
カレーは好物なので少しテンションが上がる。
「ん、やっぱ美味しいわカレー」
「そう!それは良かったわ」
俺の正直な感想に嬉しそうな母さん。
野菜と言うよりは肉がメインのこのカレーは、男に好かれるようなカレーである。
親父は会議で遅くなるらしいので今日は3人で晩飯を食べている。
そう、
何故か姉貴がいるのだ。
「なんで今日姉貴いるんだ?」
「隣引越してきたから挨拶しよかな〜って思って来た!」
俺の姉貴こと、北山彩恵。
かなりの陽キャで大学でワイワイやってるらしい。スタイルもいいし、顔も悪くないのに何故か彼氏がいない。
「あれ?もう来たのか隣」
「やっと契約等々終わったらしいよ!細マッチョのイケメン大学生来ないかなぁ〜!」
わくわくしてる姉に俺はツッコミを入れといた。
「来ても相手にされないだろ」
「何よ失礼ね。私スタイルも顔も悪くないからちょっとは相手してくれるわ」
「それ自分で言うかよ」
俺は別に陰キャのクソぼっちではないので、陽キャともすんなり話せる。むしろ、姉貴とはかなり仲がいい。
「俺は美少女JKがいいなぁ」
「あんた意味ないじゃん。若奈ちゃん一筋で恋愛しないから」
「うるせえ。目の保護になるからいいんだよ」
「それならイケメン大学生でいいじゃない!」
「俺がホモの道に進んだらどうする?」
「それはそれであり!」
「ありなのかよ!」
こんな冗談を言っているうちに、もうカレーを完食してしまった。
それは姉貴も同じでちょっと物足りない顔しながら洗い場に皿を運んでいく。
「あ、おかわりあるわよ」
「それ先言って!」
もう皿を水につけていた姉貴は母さんにツッコミを入れた。残念だったな。
俺は特におかわりする気はないので、姉貴と一緒に水つけておこうと洗い場に向かった。
その時、
『ピンポーン』
この時間には珍しくインターホンが鳴った。
親父なら鍵を開けて普通に入ってくるので親父ではない。
となるとご近所さんかな。
「秀頼んだわよ」
「あ、待って!私も一緒に行く!イケメン大学生かもしれない!」
「それはねぇ」
「なんでよー!」
そんなやり取りをしながら俺は軽い足取りで玄関に向かう。
そして、
ガチャっと鍵を開けて、ドアを開けた。
そこには、
「こんな夜分にすみません。私今日からお隣に引っ越して来ました桜井と申します」
40代くらいの割と美人なお姉さん。
「あ、どうも北山です!わざわざご挨拶ありがとうございます!母さーん!お隣さんが来てくれたよー!」
挨拶だけして母さんを呼びにいく姉貴。
ものすごく楽しそうだが、俺はちょっと気になるところがあった。
「僕は北山秀と言います。よろしくお願いします。お名前は桜井さんで良かったでしょうか」
桜井。
ふと、あの美少女の顔が思い浮かぶ。
いやそれは違う桜井、と自分の中でツッコミを入れながら俺は尋ねた。
「はい。私、桜井明美と申します。よろしくお願いします。ほらあんたも」
そう言ってとても丁寧なお辞儀をする桜井さん。
しかし、
そのお辞儀で
俺は見えてはいけないものを見てしまった。
その後ろに居心地悪そうに立つ美少女。
俺は思わず、
挨拶そっちのけで指さしてしまった。
「お、お前……」
「よ、よろしくね……」
ぎこちなく挨拶する美少女。
俺の望みは確かに叶った。
しかし、
その女は、
学園一の美少女であり、
俺が振った女でもあり、
そして、ライバルでもある、
「うそ……だろ……」
桜井三咲がそこにいた。
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