第3戦 完璧ヒロインの恋愛相談


俺を含めた部員4人の対面に、学園一の美少女が座っている。

絵面的に面接みたいだが、俺以外の面接官が口をだらしなく緩ましているため、

とても気持ち悪い光景である。

部員が使いものにならないので、俺が口を開く。


「んで桜井さんかな?どうゆう相談なんだ」


するとその瞬間、ヒロインモードの桜井は目線を落とし、悲しそうに語り始めた。


「実は私好きな人がいるんですけど」


その時、部員が、嘘だろ…というように口をあんぐり開けたが無視して続ける。


「それで最近、私その人に告白したんです」


そこで部員が完全に思考停止し、本当に使いものにならなくなった。


「そしたら私、振られちゃって…」


そして我に返った部員たちがはぁ?と怒りのオーラを身にまとう。

さっきから反応が面白い。

部員がいっせいに口を開く。


「誰ですか!?そのクソオブクソ男は!」


「桜井さんを振るとか頭どうかしてますよ!」


「そこで振ったやつをぶん殴るっていう依頼ですねわかりました!」


おいお前ら。

そのクソオブクソが隣にいるんだが。

物騒なことを言うのはやめて欲しい。

ガチでボコボコにされちまう。

桜井が両手をぶんぶん振って否定する。


「違いますよ!そんな物騒なお願いではありません!あとその一応、私の好きな人なんでそんなに言わないであげてください」


「「「すいませんでしたァ!!!」」」


その瞬間、一瞬にして手のひらを返し、土下座で謝罪する部員たち。

こいつらやっぱ面白い。


「そ、そんな謝罪大丈夫です!顔あげてください恥ずかしいので!」


そんな俺たちの部員に若干引き気味の桜井。

まぁ傍から見ればおかしなやつらだ。

俺は部員はほっといて話を進める。


「んでその桜井を振ったすごいやつがなんだってんだ?」


それを聞いた桜井は一瞬、俺をキッと睨んできたがすぐにヒロインモードに変える。


「私振られたの初めてで…。でも私はまだ彼のことが好きなんです!」


桜井は真剣な顔で告白する。

本人が目の前にいるのによくできるもんだ。

そんな熱い告白に部員たちはやる気満々。


「悔しいですけどわかりました!私たちで良ければなんでもしますよ!クソッ!」


「その男に心底嫉妬しますけど協力しましょう!ちくしょう!」


「俺たちに任せてください!あんまり乗り気ではないですけどその男とくっつけてみせます!うぅ…」


半分以上、気持ちがダダ漏れしているが協力する気はありそうだ。

目の前で嫉妬されるってなかなか悪くないな。

バレたら俺殺されるけど。

桜井がそれを聞いて涙目でエンジェルスマイルをして言う。


「あ、ありがとうございます!」


「「「いえいえそれほどでも〜」」」


声を揃えて言う部員たち。

息ピッタリである。

これは目をキラキラさせている部員に任せておけば大丈夫かな。

俺は桜井に備えて避難することにする。


「部長?急に立ってどうしたんですか?」


「いや、今回の件はお前らに任せようかなって思ってな。頼んだぞお前たち!」


それを聞いた部員は一瞬、え?となったが理解した部員たちは目をキラキラさせて言う。


「「「はい!任せてください!」」」


頼もしい奴らだ。

一方の桜井は、


「え、あちょっ!待って!」


ドアに向かう俺を焦りながらも止めようとする。

が、俺は止まらない。

そのまま俺が扉に手をかけようとした、

その時だった。


「じ、実はね!私が告白した好きな人って…北山くんなんだっ!」


桜井は俺のことが好きなので、本来その人を目の前にして名前を出すことはしたくないはずだ。

しかし、このままでは俺がいなくなってしまうと判断した桜井は最終手段として俺の名前を出したのだろう。

 好きな人を暴露してまで、好きになって欲しい。

 その気持ちだけなら嬉しい。

 しかし、桜井の場合は違う。

 桜井は学園のアイドルみたいなもんだ。

そんな人の好きな人が目の前にいたらどうする。

 答えはこうだ。




「「「部長待てやこらぁー!!!」」」





「やべぇ!」





 俺は全力で追いかけてくる部員から命からがら逃げ始めた!

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