そんな僕らの

うの

第1話 出会い

 ぽかぽかと心地よい日がさす。引越したばかりでダンボールが散らばる部屋に春の日差しがなんとも気持ちよかった。今日からここで4年間暮らす。大学生になり人生初めての一人暮らし生活だ。とは言え、大学の寮なので普通の一人暮らしとは少し違うかもしれない。八畳一間、家具付き、食事付き、風呂・トイレ共同。部屋も綺麗だし、家具も新しいものばかりらしい、なかなか悪くないと思う。ここに決めてよかったなと、決めた日のことを思い出す。大学は実家から通えない距離ではないので、最初は家を出ることを両親から反対された。しかし、私は譲りたくなかった。珍しく反論する私を見かねた両親は、寮費、生活費などを全部自分で負担するという条件つきで、一人暮らしをすることを許してくれた。

きっと実家から通う方がいろいろ楽だったし、自分のご飯をどうしようとか考えなくても、お母さんの美味しいご飯が出てくるし、、、なぜか今になって実家暮らしのメリットが頭に浮かんでくることに苦笑いをもらす。しかし、不思議と不安な気持ちはなく、一人で暮らすというわくわく感でいっぱいだった。

 

 

 部屋の片付けをしているとドアをノックする音が聞こえた。初めての来客である。誰だろうかと恐る恐るドアを開けるとそこには、長身で端正な顔立ちで明るく染めた髪がすごく似合っている男の人が立っていた。この人も寮生なのだろうか、というか男の人なのに部屋に来てもいいのだろうかと、いくつかの疑問が浮かぶ。ぼけーとそんなことを考えていたら、彼が口を開いた。


「寮のオリエンテーション始まるって。」


「、、、え、ああ、そっか、ありがと。」


自己紹介も無しに用件だけ伝えて彼は先に歩いて行った。そういえば、オリエンテーションをやるって管理人さんが言っていた。部屋の片付けは一旦終わりにして、彼の後を追いかけて寮生が集まっているであろう多目的室に向かった。


部屋に入るともう結構の人が集まっていた。女の子、男の子、人数は同じくらいだ。みんなと仲良くなれるだろうか。初対面ばかりの場でみんなそわそわとしているのがわかる。なんとなくさっきの彼が気になって、ふとあたりを見渡す。彼は少し離れたところで一人椅子に座っていた。


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そんな僕らの うの @uno1117

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