3話 エンジョイ勢、アキ③
「まあ、そうですね。これといってこちらがおすすめするような職もないですし、やりようによっては強みにもなるのではないでしょうか?」
向かいに座った検査役の男性はさらっとフォローを入れてきた。
そして一枚の紙を僕に手渡し「これを受付に渡していただければ冒険者証が作成できますので」と伝えてきた。
「色々ありがとうございます!」
「いえいえ、私はあまり何もできなかったですけどね」
と会話を交わして僕は部屋を出て、受付へと向かっていった。
数分後。
「アキさまー!冒険者証が完成しましたのでお越しください!」
数分の間を活用してクエストを読もうとしたが、結構な量あってほとんど読めなかった。ので、すぐに振り返って受付へと向かった。
「こちらが冒険者証になります。これはアキ様の状況に応じてですね……」
受付嬢はカードほどの大きさの冒険者証の見かたと使い方をざっくりと説明する。
どうやらこのカード、見た目以上に多機能らしく様々なことが書かれていた。
まず、名前と性別。これらは何ら変わりはない名前と性別である。だが、その下にかかれている項目はあまり馴染みのないものだった。
「種族は人間で間違いないと思いますけど……」
そう、この世界には人間以外にも知能を持ち、二足歩行で人間とほとんど変わりのない性質を持つ種族が多くいるという事。例をあげれば、エルフとかリザードマンとかいうやつである。
皆様の方がよく知っている気がするので種族の説明は割愛させていただく。
ただ、決してこの世界では人間がスタンダードではないことも伝えておこう。
さらには年齢と職業が記載されていたが、年齢は17歳、職業は冒険者になっている。
もちろん職業はその時の職によって変わるし年齢も歳を重ねればひとつづつ上がっていく。そして、職業に対するランクも表示されていた。
「ランクは低い順からE、D、C、B、Aと続き、その上に
並の冒険者ならAランクに行けばかなり重宝されるし、その上に行けるのは本当に才能を持った冒険者、SSSなぞ一つの職に対して一人いるかいないかであるらしい。
僕の今のランクはE。とはいえ、魔法の一つも出したことがない人間なので仕方ないと言えるだろう。
「ランクを上げるのに必要なのは経験と能力ですので、これから冒険しようというパーティーに混ぜてもらって冒険するのが良いと思います!」
これぞ冒険者の心得である。一匹狼というのは始めはやらない方が良い。多くの経験が得られるが、クエスト失敗のリスクも多くなるし能力も上がらない場合が多いのだ。
「私が言えることはこれくらいですかね、それじゃあ、良い冒険者ライフを送ってください!」
そう言って受付嬢はにっこりと笑いかけた。
僕はそれに返すように笑いかけると、今から冒険しそうな冒険者を探すことにしたのだった。
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