2話 エンジョイ勢、アキ②
それにしても、やはり異世界というのは面白そうなことばっかりである。
さっきギルドに入ってきた三人組はどうやら男1女2のパーティーのようである。
男の方は見た感じではそこまで屈強そうには見えないし、色白で黒っぽいローブのような物を羽織っているようだし恐らく魔法使いだろう。
二人いる女性のうち、一人は服の上からでもわかるしなやかな筋肉と最低限の鎧を装備した剣士、もう一人は修道女が着るような服を着ているから僧侶といった感じだ。
まず現代日本において見ることのできない光景に高揚が抑えられない。また、その光景が普通に馴染んでしまっている所がさらに素晴らしい。これが異世界か!
「アキさまー!適正審査を行いますのでこちらへお願いします!」
と、僕がそんな喜びをひしひしと実感していたところでさらに面白そうなものに呼ばれた。
適性検査がどのようなものかは分からない。だが、ギルドが普遍的な考えにおいて何の適性を測るのかはなんとなくだが予測はできた。
「アキ様、あなたにどのような魔法および魔術が向いているのかを検査します」
やはり魔法の適正のようだ。だが、実戦形式でないことは部屋の感じから分かった。
正面に居るのはオレンジ色の髪と目の男性一人。部屋の中には僕から見て左側に壁に沿って長い机があり、その上には紙と羽ペン、あとは占いで使うような水晶が置かれている。
「私が大丈夫ですよ、と言うまでそこにある水晶の上に手を置いてください。水晶に触ることによってどのような魔法や魔術が秀でているかが分かります」
便利なアイテムである。
特別魔法を打ったことがない僕だったが触るだけで魔法の適性が分かるのはありがたい。流石に魔法の出し方は知らないからね。
といったかんじで水晶に触ってみると何か温かいものが体中を駆け巡ったような気がする。あと、ぼんやりと水晶が光っていることも分かった。
おそらく体内時計では一分もしないうちに男性から「大丈夫ですよ、分かりました」と言われたような気がする。
しかし、少し男性は困惑したように伝えてくる。
「これは、不具合なのかどうか……?魔術適正値が全部同じ数字なんですよ。バランスが良いというかなんというか。別の水晶でもう一度試してもらってもいいですか?」
快く了承した。別に何か減るようなものでもないし。
でも、別の水晶でやっても結果は変わらなかった。
「どうやら、本当に全部の魔術適正が同じみたいです。全体的に初期の中央値よりは高いのですが……。おそらく何やってもそこそこまでならいけるっていう感じですかね」
男性は微妙かなといった結果を下したが僕にとってはこれ以上ない結果かもしれない。
「それって、色々なことができるってことですよね!」
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