第38話
なんだかんだありつつ、琴音が泊まって二日目。
つまり、付き合い始めて四日目になる。
今は琴音がキッチンで母さん達に代わって、朝御飯の用意をしている。
「琴音ちゃん、本当に悪いわね朝まで作って貰っちゃって」
「私が好きでやってることですから、お気になさらないでください」
「本当拓人には勿体ないぐらい出来た娘ね」
一方俺は母さん達とババ抜きをしていて、結衣が俺の手札とにらめっこしている状態。
結衣は子供っぽいから意外とモテると思うんだけどなぁ…
「むむぅ~…」
俺は無意識にキッチンに居る琴音へ視線を向けていた。
後ろに結んでいる髪の毛と、容姿が良すぎる琴音との相性が抜群に良すぎて完全に見惚れていた。
「…あー!またジョーカーだー!!」
結衣の悔やむ声に一気に戻される。
そして俺の手番、即決でジョーカーじゃない方を取りゲーム終了。
「むぅー!もっかい!」
「そろそろ飯だ、食い終わったらな?」
結衣は最初納得いってなかったみたいだが、朝食が出来ていることを理解すると笑顔でテーブルに向かった。
「…これ全部琴音が?」
「ふふっ、そうよ?」
俺達はそれぞれの席につき、手を合わせて
「「「いただきます」」」
☆
「いや~美味しかったわ、琴音ちゃんは良いお嫁さんになれるわ~」
母さんの一言で琴音の顔が一気に真っ赤になり、一人でぶつぶつと何か言っているようだった。
「拓人は絶対に手離しちゃ駄目よ?こんな女の子滅多に居ないんだから」
「…それぐらい分かってる、俺だって琴音以外の子なんて考えたことねえし…」
「なっ…?!」
涙目になりながらも俺の手を握って、睨み付けているが口元がかなり緩んでいた。
そんな姿を見た母さんは優しい目で、俺達二人を祝福してくれた。
☆
母さんと結衣は買い物に出掛け、家は俺達二人だけ。
琴音はまだ顔が赤いままだけど、手は離さずにずっと笑顔だ。
「今、誰も居ないんだっけ?」
「うん、母さん達は買い物行ったよ」
すると急に変なスイッチが入ったのか、甘えん坊モードになり握っていた手を離して、そのまま腕に抱き着いた。
「ほんと抱き着くの好きだな」
「何?不満?」
「違う違う、それだけ俺の事―んむっ?!」
言わせないぞと言わんばかりに、いきなりキスをしてきた。
最初はびっくりして抵抗してたけど、次第に受け入れ始め長くて熱いキスをした。
「ぷはっ…はぁっ…琴音…?」
琴音の目はとろーんと溶けていて、俺を押し倒した。
流石にこのままだと不味いと思い、琴音を正気に戻させた。
「琴音!これ以上はまずいって!」
「…不安だったんだから」
「えっ…?」
琴音は俺の胸に顔を埋めて、朝の事を言い出した。
「不安だったのよ!朝居ないと思ったら、倉本さんと一緒で…よく見たら二人とも仲良いし…」
俺は何も言えなかった、というか言えるはずがない。
「わだしは…!ごんなにも…一途なのに…!」
俺の軽率な行動で、知らないうちに琴音をこんなに不安にさせ泣かせてしまった。
琴音の抱き締める力がどんどん強くなっていく、絶対に離さないと言わんばかりに…
「…琴音悪かった、せめて昨日のうちに言うべきだった」
「ホントよ…どれだけ押し潰されそうになったと思うの?」
「本当に悪かった!こんなに不安にさせて…」
俺は優しく抱き締め、ゆっくりと起きてお互い見つめ合った。
もう何度目か分からない、キスをした。
今度は俺が押し倒す形になり、琴音も受け入れたところ―
「冷蔵庫に貼ってあるメ、モ…?」
運悪く妹の結衣と遭遇してしまう。
「「あっ…」」
「ごめん、お邪魔だった?あ、どうぞどうぞそのまま続きを…おかーさーん!」
お互い顔を見合わせ、ばっと離れてお互い顔を赤くしながら、かなり気まずい空気に。
「結衣(ちゃん)に見られた!」と心の声で叫んでいた。
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