第7話

 この二人に割り込んできた上野の友人らしき人物。


「琴音、芝崎君が困ってるでしょ?」

「…」

「えーっと…倉本さん?だっけ、あなたもよ」

「ご、ごめん…」


 上野は少し不満そうな感じだが、反対に明莉は落ち着いた様子だ。えーっと確か、この子の名前は


「美咲よ、川島美咲かわしまみさき。これでも琴音の親友やってます。よろしくね」

「よ、よろしく…」


 川島美咲、上野琴音の親友。

 上野と同じで成績優秀、才色兼備。性格は勝ち気な感じで、髪型はポニーテールと少し対照的な二人。

 ただ運動は苦手で俺の友人である裕貴には


「あ、川島さん、おはよー」

「っ!お、おは…よ…う…」


 何故かキャラが変わる、まあ見て分かるように裕貴の事が好きなんだろう。だって顔真っ赤だし。

 川島さんらを見ていたからだろうか、明莉が頬を膨らませて俺を睨んでいる。


「み・さ・き?」

「な、何…?」

「はぁ…さっきは悪かったわ、倉本さん」

「…ううん、こっちこそごめん」



 先程まで険悪なムードだった二人が、いつの間にか仲直りしており、上野は川島さんを連れて自分達の席へ移動していた。


 というか、結局あの二人は何だったんだ?









 ――――――――――――――――――――――――――





 時間が進み、現在体育の授業。

 俺たち男子は、体育館にてバスケの練習をしていた。


「なぁ、拓斗」

「なん、だっ」

「…なんでスリーポイントは決まるのに、レイアップ出来ねえの?」

「んなこと知るか」


 俺は何故か、スリーポイントシュートだけは出来る。

 ちなみに、バスケ部に所属してた過去はない。親の遺伝なのかもしれない。


「涼しい顔で、よく言うぜ」

「俺からしたら元バスケ部の裕貴の方が凄いけどな」

「まあな」


 先程から凄い熱い視線を感じる…

 決まる度に黄色い歓声が聞こえてくる為、少々イライラしている。


「さっさとバスケ終わらねえかな…」

「どした?」

「なーんにも、ねえ…よっと」


 ―キャー!!シバサキクーン!!

 だー!もう!さっきからうるせえ!!気が散る!!




 ――――――――――――――――――――――――――




《琴音視点》


 私たち女子は今、体育館の傍にあるテニス場にいる。

 今は休憩中で何人かは、体育館にいる男子のバスケに夢中だ。…かくいう私もその一人なんだけど


 男子たちは試合をしているみたいだ。他の皆はお目当ての子や彼氏を応援している中、私はとある一人の男の子を凝視していた。


「おい!反対側がフリーだ!!」

「頼んだ芝崎!」


 パスを受け、完全フリーだった彼はその場で綺麗な放物線を描くようにシュートを放った。

 額には汗が流れているが、表情はいつもの仏頂面。彼が放ったボールは綺麗に入ったみたいだ。


「ねぇ…今の芝崎君格好良くなかった?」

「分かる~!今のはヤバかったよね!」


 何人かはさっきのシュートで彼にメロメロだ。彼がそういう風に見られてるのは少し嬉しい反面、ちょっと妬けちゃう。―まあ彼の彼女じゃないんだけどさ…


「こーとね、何ずーっと芝崎君見つめてんの?」

「なっ…!べ、別に見つめてなんかない!」

「顔真っ赤にして言っても説得力ないわよ?」


 だ、誰のせいだと思ってるのよ!というかニヤニヤするな!!

 もう!変なこと言うからまともに顔見れなくなったじゃない!うぅ~!!

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