現実世界と異世界の狭間で

若瀬

砂時計を割って

愛しさに溺れた日々は遠く、今は喪失感に悶えている。虚空に消えていこうとする鮮明な表情、仕草を拾い集める。

「本当に元に戻っているのだろうか」なんて答えの見つかりそうにない問いが頭の中を駆け巡る。

「きっと大丈夫」根拠のない自信が頼りだった。


それでも限界がある。愛しさに支配された砂時計はもう動き出しているかもしれない。何とか出来ないかと考えた私は、画面の表層に触れて、その愛しさを果ての見えない大海に漂わせた。


この海に浮かんだならもう消えることは無い、と。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

現実世界と異世界の狭間で 若瀬 @minase_kawa

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ