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 何もわからなくなる。目の前が真っ暗だ。音楽を聴く気にすらならない。本を読む気にもならない。疲れた。何も考えたくない。考えなきゃいけない。僕はどうすればいいんだろう。僕は何になればいいんだろう。

 ケジメをつけろ。樋口が言った。

 いい加減にしろよ。足立が言った。

 いらないからあげるね。姉ちゃんに言われた。

 ぐるぐるぐるぐる。言葉と意見と考えとが頭に響く。やかましい外の音が小さくなっていく気がする。無音が怖くて、立ちあがって窓の方に向かった。

 ロックって、うるさいよね。

 窓のカギを外して、端に手をかけた。

 説教臭いよね。俺わかってるよ、みたいな。

 ぐっと力をこめて、開けた一瞬、甲高い音が窓の隙間からもれた。

 お前ら、教えてやろうか、みたいな。

 そのまま思いっきり横滑りさせると、すさまじい音と風が小さな部屋の中に入り込んできて、すごい、と思ったとたん、散弾みたいな雨に撃たれて倒れ込んだ。

 天井を仰ぐ。ああ、と声が漏れた。

 高野先生。僕、悟っちゃいました。

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