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高校生になってから、僕は恋愛をしていない。一方的に誰かに惹かれたことすらない。興味が無かったからだ。僕は学校の女の子を、そういうふうに見ようとしなかったし、彼女たちも同じように、僕をそういう対象として見ていなかった。天然パーマのキツイ、変に気取った男子高校生なんて、気持ち悪いだけだろう。
そもそもクラスメイトの女子の名前を覚える気が無い時点で、健全な男子高校生の枠からは外れてしまっているのかもしれない。中学、高校と、男友達が「○組の○○可愛くない?」みたいな話をするのも、冷やかな気持ちで聴いていた記憶がある。
でも、僕が人を好きになったことが無いわけではないし、ましてや同性愛者なワケでもない。一度、月並みだけど、同級生の女子に告白したことだってある。中学三年の時だ。
小学校の時から、好きだった女友達に、僕は告白をした。なんのひねりもなく、「付き合って下さい」と。
高校の友達はこの話を聴くと、みんな僕を意外な目で見る。
ええ、お前が? 冗談言わないでくれよ。みたいな。
でも直後、ちゃんとやることやってたんだな、と茶化すように言う。僕はまあね、と笑ってごまかす。でも、言わずにいることもある。
僕は臆病者だから、「付き合って下さい」なんて、面と向かって言えるわけない。だから僕は、電話で告白したんだ。それでも声を震わせながら。情けないだろう? 僕もそう思う。僕は今でも、このことをたまに思い出しては、布団を頭までかぶってぐるぐると回りたい気持ちになる。
言うまでもないだろうけど、ちゃんとフラれた。
「友達でいすぎたね」
告白から一週間後、そんなメールで受け取って、僕はいっちょまえに傷ついた。なんとなく泣いとかなきゃいけない気がして、ほろりと涙を流したりした。その後、しばらく詩を書いたりもした。誰にも見せなかったけど。
それから相手の女の子との関係を元に戻すまで、一年近くかかってしまった。けれど、何とか友達という関係までは戻ることができた。今でもその人とはメールをしたりする。未だに、たまに会ったらドギマギしてしまうけど。
*
夜中、布団に入ってから、一度オナニーをして寝た。おかずが何かなんて、言えるわけないじゃないか。
くしゃくしゃになったティッシュの中身は、ただのたんぱく質だ。
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