21

 塾からの帰りは、いつも十一時を過ぎる。僕は一人で、梶原がいる時は二人で、自転車を漕いで帰る。今日は一人の日だ。レミオロメンのアルバム、朝顔を聴きながら、のんびりとペダルを漕ぐ。疲れている時でも、できるだけ長い時間、いつまでも、音楽を聴いていたいと思う。学校に行く時と同じように、僕は遠回りをしながら家に帰った。たまに気が向けば歩いて帰ったりもする。そうしたら次の日、学校に歩いて行けるからだ。

 ダルイ感じの曲が聴きたくなって、THEピーズのアルバムを選択して、自転車を漕ぐ。

 好きなコはできた。人生なんてこれからさ。

 ボーカルがやる気の無く歌う。聴きながら、僕はちょっと昔の思い出に浸ってしまう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る