14

 昼休みと掃除が終わって午後の授業が始まる。最初はちゃんと授業を聞こうかと思っていたけれど、あまり眠れていないせいか、朝からずっと頭がぼうっとしていた。

 そこで、みんなのやる気を削いでしまっては申し訳ないなあ、なんて、たてまえとして心にもないことで心を痛めてみせてから、気分が悪いと言って教室を出た。

 教室を出ると、保健室には向かわずに、美術室や音楽室、図書館がある特別教室棟に歩いた。その棟の階段の一番上にある踊り場で、僕はいつもそうするように、音楽を聞きながら本を読むことにした。

 サンボマスターのアルバム、「新しき日本語ロックの道と光」を再生しながら、昨日の夜途中でやめた本を読む。椅子とテーブルに、ミルクが多めのカフェオレでもあれば、最高の午後、なんて、気取りすぎかもしれない。

 だみだみで、でも何故か透き通ったような印象のボーカルが、情景の浮かびやすい歌詞を直球で、時にさみしそうに、時に怒鳴るように歌いあげてくれる。

 どこか懐かしい気持ちにひたりながら、はらりと本のページをめくった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る