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僕の通う高校は、中途半端な進学校だ。在校生のほとんどが国立大学や有名私立大学への進学を目標に、三年間勉学にその身を捧げる、そんな学校。
何を間違ったか、僕はそんな学校にそこそこ上位の成績で入学してしまい、一カ月もしないうちに、その周りのテンションについていけなくなってしまった。いわゆる落ちこぼれ。一年生の初めてのテストでは、入試の時より二〇〇も順位を落とした。
勉強をしていないわけでは無い。中学校から通っている塾はまだ続けているし、そこでの勉強は楽しいと思える。ただ、自分に必要な分だけの勉強をしているだけなんだ。僕の目指す大学は、偏差値でいえば五十半ばくらいの私立大学だ。大学のレベルを落としたわけではなく、純粋に行きたい分野の中で、行きたいと思えるだけの大学がそこだけだったという、それだけのこと。
だけどそれだけのことは、この高校に通う生徒からは認められず、「諦めてレベルを落とした人」か、もしくは「努力を怠った人」として見られてしまう。だから僕は学校で、ほんの少し肩身が狭かった。いや、肩身が狭いフリをしなければいけなかった。じゃないと、他の学生からは、のんべんだらりと適当に遊んでいるようにしか見えないから。
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