貯金残高───

「刈谷先輩!」


「あっ!間宮」


「あまみや!」

「あまみや!」


黒いランドセルを背負った低学年くらいの男の子と、3歳くらいの女の子が先輩の真似をして私を呼びました。


「すみませんっ!先輩、今日は突然告白なんかしちゃって!あの!その!…… 」


「ああ、悪かったな。お前の気持ちに応えられなくて」


「わるいな あまみや!」

「わるいあまみや!」


また男の子と女の子が真似をします。


「いえ、私の方こそ先輩の事情を何も知らなくて、その…… あの…… 経…… 経済的理由ってのはその…… つまり…… 」


「俺んチ貧乏なんだ」


あっ!あっさり言っちゃいましたね、全然気にしてないのね先輩自身は、でも貧乏っていうかチョー貧乏みたいなんですけど


「せっかくだから寄って行くか?お茶くらい入れてやるぜ」


「あっはい!あっでもお茶なんてそんなもったいない!私なんて者は水道水で充分です!」


「そこまで貧乏じゃねえよ、まあ入んな」


刈谷先輩は爽やかに笑いながらそう言って案内してくれたけど、私はその冗談には全然笑えませんでした。


だってそこまで貧乏でしょ!先輩!


「はいんな!あまみや!」

「あいんな!あまみや!」


あの…私、雨宮じゃなくて間宮なのよね



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