穏やかな日々
夕刻───────、
その下、
1人は、左足を適当に投げ出し、立たせた右足の
そしてもう1人は、あぐらをかいて両手を組み、その上に力なく
「…………やっぱりダメだっただろうが」
最初に口を開いたのは、
うなだれていた頭を上げて、横目でちらりと隣の
話しかけられた当人は、何の反応も示すことなく、ずっと
数秒の間をおいて、突然頭をガリガリと
「あぁクソッ! あと少しだったんだ! あと少しで、あの花を手に入れられたんだ!」
「んな事言ったってお前、結局のところ
「うっせえっ! 手は届いてたんだよ! 大体、お前があそこでヘマしなけりゃ、俺だって川ん中に落ちたりしなかったんだぞ!」
「何!? 俺のせいだって言うのか!
それを言うなら、俺はお前に "危ないから引き返そう" って言い聞かせたはずだぞ! それを無視したお前のせいじゃないか!」
気づけば2人は、立ち上がって
そのまましばらくの間、
「…………それで? これからどうすんだよ」
再び源太が口を開き、衛実に問いかける。
問われた少年は、ぶすっとした顔をして、やや投げやり気味に答えた。
「どうするって、んなの決まってんだろ。 …………帰るしか」
「…………こんな格好で?」
「…………………仕方ねえだろ。とにかく、今はさっさと帰るしかねえ」
「そうだな……。もう日も
そんな発言とは
「おや、ようやく戻って来たね、ってどうしたの!?」
行きの倍以上の時間をかけて、ようやく村に
2人の
「さては、あんた達また何かやらかして来たのね?
着替えなんかは用意しておくから、早く風呂に行きなさいな。父さんも
気を
「おか〜さ〜ん? どうかしたの〜?」
と、そこへ、2人の背後から日奈を呼ぶ少女の声がかかってきた。無意識に声がした方へと顔を向けた衛実は、
「な……、
「あ、お兄ちゃんだ! お帰り〜! またやんちゃしてたんだね。源兄さんを
普段であれば、兄として同じように笑顔で
「べ、別に困らしてなんかいねえよ。大体、こいつは勝手に付いて来ただけだ。適当言ってんじゃねえ!」
「え〜、本当に? どうせまたいつもみたいに、仕方なく付いていってあげてるんでしょ? お兄ちゃん、1人だと危ないもんね〜」
手を後ろに回して、
「うっせえ! んなことねえよ。つーか源太お前、なに
「いや〜、椛、お前さんは本当よく出来た妹だよ。このやんちゃ野郎にもっと言ってやってくれ」
「てめえ!」
まるで自分の自慢の妹だとでもいうような顔で、おどける源太に衛実が
「おーい、何してんだ?」
「「あっ…………、」」
「おとーさん! お帰り〜!」
「おー! 椛だだいまァ! 元気してたか? 久しぶりだろ、ゆっくりしていけよ!」
ひとしきり親子の再会を喜び合った衛成は、次に先程からずっと
「んで? 衛実、源太、お前達どうしたその格好。服着たまま
それまでずっと
そんな中、必死に頭を回して
「ま、まあ、そうだよ。最近、
「ほぉ〜、自分達で考えて鍛錬をしたんだな、感心感心。
ところでな、今日、村の
ブンブンと顔を振る衛実と源太。だが、彼らの
「そうか、知らないかあ。なら、仕方ないな。
"さらに罰が科せられる"と聞いて、固まる2人。見かねて日奈が衛成に話しかける。
「あなた、もうそこまでにしておいてあげて。今日は、都にお
主役が
「それもそうだ。悪かったな椛」
「ううん、大丈夫。気にしないで! いつもの事だもんね!」
竹を
「その通りだ! さすが俺と母さんの自慢の娘だ、よく分かってる。
さ、今日は
「もちろんよ、腕によりをかけて作ったんだから!」
「よし! そうしたら、さっさと始めるぞ。
源太も、
「は、はい! すぐに!」
「まあ、今日の事は、その後じっくりと、聞かせてもらおう。いいな? 源太、衛実」
衛成の
だが、2人の少年を真っ直ぐに見つめるその目だけは、笑みとは
2人の少年は
今日明日、いや、しばらくは地獄の日々が
そして、それに
源太は
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