第24話 『人』の想い
『
「朱音。今まで気がつかなかったが、その姿、もしかしてさっき
衛実の
「そうじゃ。
彼らの
衛実は、今回の敵の
「そうか……。
なんて言うか、すまなかったな。
衛実の視線に気づいた朱音は、ハッ、とした表情をして、サッと
「大丈夫じゃ。これは、その、」
どうやって『見られていなかったとはいえ、衛実以外の人の前で鬼の姿になった』ことを隠そうか必死に考えを
「
実際に取った行動と違った作り話をする
「ほら、傭兵さんも急いで
娘殿のことは、どうかこの私にお
着付け師の言葉に、早めに持ち場へ戻ろうと考えていたのか、衛実は特に
この
そんな朱音の気を切り
「さあ、
あの
そんな風に言う着付け師を、朱音はポカン、とした表情で見上げて
「…………気づいておったのか?」
着付け師は朱音の身だしなみを
「ごめんなさい、
あの
「そうであったか……」
急な事で、注意深く
そんな少女を
「安心してくださいまし。そうなされているのは、何かしらの
それでも、私達を
これがそのお礼となるかは分かりませぬが、この事は
着付け師の
「本当か? それならば、わらわにとってもありがたいことなのじゃが……」
少し
「本当ですわ。こう見えて私は、口が固いほうですのよ。
それでも心配されると言うのであれば……」
着付け師は自分の
その行動の
「それは、私の母が
もし、私が
「そ、それは……!」
着付け師の言葉に
「『
この街で
どうかその身にしっかりと
「こんな大切な物をわらわに
『
「もちろん、後でお返しいただきますわ。
ですが、これを
それが私に出来る、せめてもの恩返しでございますれば……、」
そう言いながら朱音の
朱音がしっかりと歩けるようになるのを見届けて、着付け師は口を開く。
「さて、これで良いでしょう。
もっとも、
朱音は、着付け師の最後のどこか
「うっ……。頼む、くれぐれも
朱音が両手を合わせて
「まあ、そうなんでございますか?
ですが、私はそのようには感じません。とても
「……そうであるか」
それでもイマイチ自信が持てていなそうな様子の朱音に、
「ええ。
ですから
ささっ、準備はよろしいですか? お店は、まだまだこれからにございますよ!」
着付け師に優しく背中を押されて店先に送り出される朱音は、そこで八兵衛と何かの打ち合わせをしている衛実に
八兵衛と衛実も歩み寄ってくる着付け師と朱音に気づき、少女の整った姿に2人とも
「それじゃあ衛実の
そう言って着付け師と共に店内へと戻っていく八兵衛に、衛実は『分かった。
そんな衛実に、朱音は
「衛実、ぬしに言っておかねばならぬことがある」
「なんだ? どうかしたのか?」
「
朱音が
「そうか。もしかしてそれは、あの着付けの人のことを言ってんのか?」
「そ、そうじゃが、
『誰に』見られたのか、簡単に言い当てた衛実に軽く驚いて見上げる朱音に、彼は口元に
「さっきあの人が
初めは何のことか分かんなかったが、お前の話を聞いて
「そうであったか……」
「けど、特に何も起きてないってことは、あの人は俺達のことを
さして重く受け止めず、さらりとした口調で結論づけて、店の中へと視線を向ける衛実を見て、朱音はひとまず
「……そうじゃな。本当に、あの者には感謝しなければならぬ。
……じゃが衛実、」
『なんだ?』と顔をこちらに向けて聞き返して来る衛実に、朱音は
「
思いもよらない問いに、衛実は目をパチクリとさせて朱音を見ると、一度視線を
「鬼は違うのか?」
「うむ。
確かに、わらわ達も受けた恩には感謝もする。じゃがあの者のように、わざわざそれを返そうとはしないのじゃ」
朱音から聞かれた問いを衛実は腕を組み、目を閉じてしばらく考えて、やがて1つの答えが出たのか、
「そうだな……。
俺にもよく分かんねえが、きっとそうすることで、
「『後腐れもなく生きていける』、か。
ふむ……、なるほどな。それがぬし達『人』の
衛実が出した答えを
「俺だって実際はどうだか分かんねえよ。
けどまあ、もしかしたら、いつかはお前の問いの答えに出会うのかもしんねえな」
「……そうじゃな。
それはわらわがいずれ
して、これよりぬしは何をするのじゃ?」
考える
「ああ、さっきの奴らがまた来ないとも
安心しろ、今度はそう遠くに
話の最後は特に意識もせず、軽い
「
朱音の
「……はいはい、分かったよ。それじゃ朱音、また
気まずさからか、逃げるようにして
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