第22話 『山狗』との戦い
さすがは武士の家の
こんな事態になっても
「すまん、遅くなった。状況は?」
衛実が走り寄りながら声をかけると、八兵衛も彼に気づいて『良い
「衛実の
それじゃあ、急いで表に出てくだせえ!
こっちはウチに
「よし、任された!」
八兵衛の指示を2つ返事で受け入れた衛実は、背中に引っさげた
「ご
その姿を頼もしそうに見つめながら、八兵衛は
ーー八兵衛の
「権八さんッ! こいつら、今日はやけに数が多いみたいっスよ!」
「
数で見比べてみると、用心棒達が4名ほどしかいないのに対し、野盗集団はその倍、いやそれをも上回る大人数で襲いかかって来ていた。
さらに、今回襲いかかって来た野盗集団は、見た目の
「もっと
権八は、自身も2
前の『鬼』との戦いで命を落とした
(くそっ……! 吉之介さん達がいたら、もっと楽だったはずなのに!)
「権八さんッ! 後ろっス!」
戦闘中に、ふと
「なっ! しまっ……!」
振り返った権八の目の前には、
人間の本能として、反射的に目をつぶって間に合わないと分かっていながらも、左腕で
だが、いつまで
権八が
「な、なんだ……?」
権八が一瞬だけ、
「お、お前は……!」
「遅くなって悪い。これからは俺も参戦する。戦況は?」
問いかけて来る衛実に対し、驚きから気を立て直した権八はとりあえず彼の
「統制の取れた野盗集団が攻めて来た。何人かは討ち取れたが、
今はこの状況の
「隙、つったって、こんな数相手じゃ、そうそう見つかりっこねえよ。そんな事するより先にこっちが
なら、向こうの頭をさっさと討った方が良いと俺は思うが?」
衛実の
「出来るなら、俺もそうしているさ!
でもこっちは、お前を入れても5人。それに比べて敵は、今ざっと見ても10人以上もいて、
そんな中に馬鹿正直に突っ込めば、命を落とすのは
「……なるほどな。でも本当にそうか?
すっ……、とまるで何かに
「お、お前、まさか突っ込む気か!? 無理だ! 死んでしまうぞ!」
「どっちにしたって、死ぬ時は死ぬ。
それなら俺は、ただ
そう言うやいなや、衛実は腰を時計回りに
「ちょっ、まっ! ……くそっ!」
自分の
(なんて
もちろん、権八にだって『この状況を
(だからと言って……!)
周囲の追いすがってくる敵を切り捨てながら、権八は衛実の背中を追いかける。
権八の『いずれ切り
「ラアッ!」
むしろその逆。衛実が進むごとに、その周りで真っ赤な血しぶきが飛び
しまいには、衛実の『鬼』のような強さと
後ろを走る権八は、次々と出来上がっていく道に、ただただ
(あれが、衛実の強さなのか……? ケタ違いに強いじゃないか!)
そんなことを感じつつ、足を止めない権八の視線の先で、衛実が
ようやく追いつき、
「どうしたんだ、衛実。いきなり止まったりなんかして」
彼の問いに衛実は
「あれを見ろ」
衛実の指の先を追って視線を前へと向ける権八に、信じられない光景が飛び込んで来た。
「あ、あれは……!」
敵の最も守りが固くなっている所、その奥に、
その男が身に
それを見て
「"
この京の街で暮らしている者であれば、一度は聞いたことのある名前。
けれどそれは『悪い意味で有名』であり、普通の人であれば、その名を聞くだけで腰が引けるほどの
『今、自分達の視線の先にいるこの大男こそがその
その姿勢のまま、大男に向かって
「命が
衛実が口を開くと同時に放つ
だが、
「ふん、たかが2人ごときに何が出来る。
「俺はこのまま突っ込んで、ヤツを討ち取る。権八、あんたも来るか?」
衛実の提案を聞いて、一瞬だけ『ふざけているのか』と思った権八は、それでも
「……やれやれ、分かったよ。敵の
俺は
権八の
「協力的で助かるぜ。それじゃ、行くぞ。
3、2、1……かかれっ!」
衛実が号令を
急な動きに対応が遅れた野盗の1人が、
一方、権八も衛実の突撃に
2人の勢いに、
「ハァッ!」
そのまま両者、
「ふん、どうやら口だけのひよっこでは無いらしい」
2人の間に流れる無言の空気を破って口を開く『山狗』の
「はっ。てめえも、ただのずんぐりむっくりじゃないらしい。さすがは
衛実の
4mほど後ろに飛ばされながらも衛実は、
『山狗』の
2人が
それを
「おいてめえ、まさかこの俺がその背中を
衛実の投げかける言葉に、『山狗』の
「なに、気が変わっただけだ。
その背中を『
「何とか
やれやれ、今回ばかりは、さすがに
権八の問いかけに気づいた衛実は、肩をすくめながら
「ああ、見ての通り、ピンピンしてるぜ。あんたも特に大きな怪我はしてないみてえだな。
衛実の軽い
「これでも
それにしても、本当に頼りになる
権八の
「あいつに
衛実の
「そうだな。そうと決まれば急いで戻ろう。
衛実も、お前の
「うるせえ、ほっとけ」
そんな
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