第17話 京街散策 弐
今度は
「なんとなく、不思議な気分じゃ。衛実とは共におることが多かったが、弥助も一緒なのは、中々新鮮じゃな!」
道を歩きながら、朱音は少し楽しげに話し始める。
それを聞いた弥助も、首を
「そうだねぇ。あっしもこうして衛実と並んで歩くのは、久しぶりだぁ」
そして、
「ほらぁ、衛実もそんなに間を空けないでぇ。
その声に衛実は、
「あのさ、弥助はいつまで俺の
衛実の
普段の2人の会話から受けた印象にしては、今の状況が納得行かない朱音は弥助に
「弥助は、何か衛実の弱みでも
「う〜ん? あっしとしては、そんなことはないつもりだよぉ。衛実とは、いつだって対等な立場さぁ」
「んなわけねえだろ。お前はいつも報酬をかさに、仕事の主導権を握るじゃねえか。そんなのが『対等』なわけあるか。今だって、どんな
「やだなぁ衛実、そんな事ないだろう? 朱音ちゃんに変な事を吹き込むのは辞めてくれないかい?」
口調の割には、やけに引っかかる笑みを顔に浮かべる弥助が衛実をじっと見つめる。
「……おい弥助、そんな見えすいた笑顔なんて作るんじゃねえ。目が笑ってねえぞ」
「衛実、
弥助の
それから
朱音が仕立て屋に
「……特に言う必要もないとは思うけど、朱音ちゃんの体つきは、あまり戦闘向けじゃないねぇ」
弥助の
「そうだな……。あいつは今まで戦った経験がない。生きる
「いつか
「お前にそんな当てがあったのか? ホントにお前って奴は、一体全体、何者なんだよ」
弥助の思いがけない提案に、衛実は驚きと共に、改めて『弥助』という人物の
そんな衛実を知ってか知らずか、弥助はどこかとぼける様子で答える。
「ただのちょっと顔の知れた
「いや、せっかくだから頼む。ちなみにそいつは男か?」
「『
「お前にそこまで言わせる人物なのか……。世の中、知らねえ事ばっかりだな」
「そうだよぉ。世の中は広いもんなのさぁ。
あ、でも衛実も朱音ちゃんも、まだ
弥助は衛実の身体を
実際、衛実の身体には、
衛実もそういったことに関しては、きちんと
その上で、改めて弥助に
「そうだな。だが弥助、絶対に無茶な仕事だけは振ってくんなよ。
すると弥助は、『悪い大人の顔』で衛実を
「おっとぉ、それは何かのフリなのかなぁ?」
「
引き
「
ところで、この前の反物屋さんを
『冗談』と言われても、素直に飲み込めない衛実は、一応、仕事の内容を確認する。
「なあ、それはこの前みたいな
「大丈夫だよぉ。
多分だけど、向こうの仕事内容は、お店の
弥助の口から『約束する』という言葉が出たことに、衛実はいくらか
「分かった。それじゃ、八兵衛さんに伝えといてくれ。『明日にでもやらせてもらう』ってな」
「
そうして仕事の話が
「衛実、弥助、ただいまなのじゃ」
「おう、おかえり朱音。何か変わったこととかはあったか?」
「大丈夫じゃ、特に何の問題もない。
あ、じゃが一つだけ頼みがある。せっかく
「ん? それはどうしてだい?」
朱音の
「あれだ、弥助。
こっから先、朱音が前みたいな討伐任務を俺と一緒にやるってなった時に、今の
戦闘で動きが
だから、いざという時のために、小さく作った方がいいと俺も思う」
本当は、朱音が
だがもちろん、朱音の
「ああ、なるほどぉ。確かにそうだよねぇ。ごめんねぇ朱音ちゃん。あっしの考えが
「大丈夫じゃ。では、わらわの頼みを聞き入れて貰ったという事で
「
そう言うと弥助は、仕立て屋の主人に話をつけるべく、奥へと向かって行った。
弥助が納得してくれたことに、胸を
「弥助が話が分かる者で助かったのじゃ」
「ああ、そうだな。でもあいつの
「そうじゃな」
2人が
「お待たせぇ、2人とも。店主さんに、朱音ちゃんの注文を聞き入れてもらえたよぉ。
出来上がるのは、また後になるみたいだから、その時はあっしが受け取りに行くねぇ」
「それは良かった。ありがとうなのじゃ、弥助!」
「いいんだよぉ。朱音ちゃんの
朱音には
「その言い方だと、俺には何もしてやらないっていう風に聞こえるのは気のせいか?」
衛実の
「ひねくれて素直じゃない衛実には、やってあげないもんねぇ。前みたいに素直になるんだったら、優しくしてあげてもいいけどぉ?」
「やめろ気持ち悪い」
衛実が本気で嫌そうな顔をした所で、やり返しに満足した弥助は、話を切り上げるようにパンっと両手を合わせる。
「さて、用事も
弥助の問いに『特にないな』、『わらわもないぞ』と答える2人。
「じゃあ、途中で
「そうじゃな……」
朱音があれこれと
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