第9話 出陣
それから1時間が
集まった面々を一通り見渡して、
「……よし。
それじゃ、
まず、弥助が連れてきた者3人は、そこにいる
そして、
衛実が問いかけると、
「なあ、
弥助から話は聞いたけども、どうにも
まず、こんな年の子に
なんだって、わざわざ戦力を無駄にするようなことを?」
護衛が発言した事は当然と言えば当然の事で、他の面々も『わざわざ朱音を守らないといけない』という事に
衛実は、質問をした者だけでなく、全員に言い聞かせるように答えた。
「それには深い訳があってな。悪いが、それを話すことは出来ない。
だが報酬は、
衛実の答えは質問の内容にしっかりと
先程質問した者が皆を代表して応じる。
「へいへい、別に
俺たちにとっちゃあ、報酬さえちゃんとくれれば満足ですからね。
余計な
「助かる。他の者は何か言っておきたいことはあるか?」
衛実の問いかけに対し、誰も手を上げない。
「いないみたいだな。……よし。それじゃ、出撃だ。
衛実の号令に一同は『
その様子を弥助と共に店先から見送っていた反物屋の主人は、彼らを見つめながらポツリと
「弥助の
ウチとしては、少しばかり嫌な予感がするんですが」
「うん、そうだねぇ。確かに不安だけど、衛実ならきっと、やり
同じように遠ざかっていく傭兵達を
「へぇ、弥助の旦那は、あの
「そうだよぉ。あいつはあっしが今まで見てきた中で、1番強い
「あのちっこいお嬢さんも気がかりなんだが……」
「それもきっと、大丈夫だよぉ」
そう
店を出た衛実達一行は、事の
「しかしまあ、話には聞いたが、熊のような
他の傭兵も同意して後に続く。
「俺にもだ。なああんた、衛実って言ったか?
本当にそんなもんが、ここにおると本気で思っとるのかい?」
話を振られた衛実は腕を組んで、
「俺も直接見た訳じゃないからな、
そう言って衛実は、昨日、橋ですれ違った
「ただ、心当たりがするとしたら、昨日この場所で、ある男とすれ違った時、そいつから
けど、そいつ自身に血の
7人が
その男は、全身を真っ赤に染め上げ、何かの物体を引き
明らかに様子のおかしい男の姿を見て、『これは!』と思った朱音はすぐさま前を歩く衛実を呼んだ。
「衛実! 後ろじゃ!」
朱音の声に反応して、7人が同時に後ろを振り向く。そして朱音が指差す方向に
「総員! 戦闘態勢だ!
衛実の号令が飛び、全員が己の武器を抜き放つ。
彼らの目には、先程までの
と、そこで目の良い傭兵の1人が男の引き摺ってきた物体の正体に気づき、まるで信じられない程の嫌な物を見た、というような
「……おい、ありゃあ人だぜ」
それを聞いた他の傭兵も、
「あれが人だと? 無数の
それによく見たら、確かに胸の下に大穴が空いとる。
男の出方を注意深く見つめる衛実が会話を交わす2人に向けて注意を
「俺たちも気を抜けば、ああなるぞ。油断すんな」
衛実の言葉に『言われるまでもない』といった表情で、武器を構え直す傭兵達。
「ああ」
「あんな姿になるなんぞ、
「グルルルルルルルッ!」
衛実達の
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