第2話 修学旅行

なおとはあれ以来、毎日顔を合わせるが

どうしても口元に目がいってしまう自分がいた。

「別に好きとかじゃない、これは恋なんかじゃない。」

何度も何度も自分自身に言い聞かせて目線を口元から逸らした。

だけど…、あの柔らかい感覚が身体から離れない。

授業中、家に帰っても、なにをしていても

頭をよぎるのはあの日の事だけだった…


そんな中、中学3年になり修学旅行を迎えた。

なおとはあれ以来、何もなくクラスも別々となった。

修学旅行の楽しい時間は淡々と過ぎていき、

3日目の夜の事だった。

理由は忘れてしまったが、中学生活でそこまで仲良くはしていなかったがクラスが同じで

みんなから慕われていた、秋という子がいた。

秋は自分の布団で寝ていたがお互い寝れずにいた。

「なにか面白い話しとかないの?」

お互い中学生っぽい話しで暗い中、盛り上がった。そんな中、自分は秋になおの話をしてしまった。

あの感覚が忘れられない事を…

「ねぇ、キスしていい?」

「え?」

秋の返答に「当たり前だよな」と思う自分自身がいた。

「…、いいよ。」

少し間をあけ、戸惑った感じで秋がこたえた。

「え?いいの…?」

と、聞き返してしまった。正直、そんな返答が返ってくるとは考えもしなかったから…。



自分自身、なおの事をただ忘れようとしてただけなのかは今となっては良く覚えてはいない。

ただ、また何が初まってしまった感覚は鮮明に覚えている。

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