再開は甘くない。
入学式後のガイダンスも程なく終わり、俺は今、自宅でラノベを読んでいる。
「やっぱラブコメだとあのあとご飯行くかどっちかの家行くか、どっちにしろ昔の話するだろ!おかしいよなぁ」
そう、あの”中学校卒業と同時に疎遠になり、もう会うこともないと思っていた幼馴染みに都会の大学で再会、それも窮地を救ってくれる”なんて言うラノベっぽい展開の後に「じゃ、また今度ね」とつい数分前のテンションとは雲泥の差と言わんばかりの声でそういい、俺の前から去っていった。
「せっかく4年ぶりに会ったってのになあ」再会した彼女の姿を思い浮かべる。
本当に見違えたよなあ、髪もショートだったのがロングだったし。可愛い、って感じより美しいって表現の方が合ってる感じ。男子3日会わざれば刮目してみよって言うけど、女子も結構変わるよな、4年も会ってないけど。
そんなくだらないことを思いつつ、中学の同級生に電話をかけた。
「おお、蒼太か!都会に憧れた男!おら東京行くべ!だっけ?」
「はい。さよなら」
「待った待った!悪かったって!なんかあっ」ツーツーツー。
電話を切った。俺をからかう奴は友達じゃねえ、俺をからかっていいのは高木さんだけだ。
程なくして携帯に着信がきた。さっきのやつからだ。
「なんだよ」
「なんだよ、じゃねーよ。お前が電話かけてきたんだろーが」
「別に、聞きたいことがあったけど地方の大学行ったやつに都会ばかにされてむかついたから。もういいっす。」
「好きなラノベ10冊郵送してやるって言ったら?」
「ちょっと聞いて欲しいことがあるんだけど」
「なるほど、聞いてやろう」
「
「お前の元カノじゃん」
「彼女じゃねえよ、付き合ってたわけじゃなかったし」
「互いに両思いなまま終わったって言ってたっけか、いかにも中学生らしいな」
「あの時は付き合うって何したらいいかわかんなかったんだよ、それにいい高校行くために内申点必要だったし」
「あの時のお前中学校生活全部勉強と部活に注いでたよな。部活も全国まで行ったんだっけ?」
「団体戦でな、それも内申にかかれるから頑張ってたんだよ、今となっては高校なんて関係なかった気するんだけどな」
「でもお前、高校で彼女できたって言ってなかったか?」
「もう別れたよ、てか振られた、いっこ上だったから受験勉強で忙しいって」
「その頃から俺におすすめのラノベ教えろって言ってきたよな」
「推しはな、どっかに行ったりはしない、永遠に俺の心の中にいるんだぜ?はまらない訳が無い」
「はいはい、それで?その元カノがどうしたって?」
「元カノじゃねえよ。...あいつと、大学で再会した」
「まじかよ!初恋の相手と再会!いかにもラノベじゃねえか!そのままコクって付き合っちまえよ!」
「いや、それは唐突すぎるだろ、まあ、あっちがいいって言うならいいけ..」
「あっ、そういや木下、彼氏いたわ。」
さよなら、俺の初恋。サヨナラ青春。
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