第67話 我、忍ぶ②
「いやぁ~、あなたってなんでも万能ね! この調子ならこの先も一人でなんでもできるんじゃない?」
「今までも一人で生活してきたんだから、その言い方はちょっとなぁー」
「ごめんごめん! で、残りの肉はどうするの?」
「明日までは持ちそうだけど……。というかいい加減白菊は家に帰れよ」
羅刹の手料理を堪能した白菊は饒舌になってはいるものの、この発言には思うところがあるのか、無言になってしまった。
「君、破村白菊だろ?」
「あー……、やっぱりバレてたのね」
「うん。君達の噂はなんとなく知ってはいたんだ。衰退してはいるけれど、忍びの一族はこの国のどこかにあるって話だったし」
そう、忍びの一族。破村。昔はその名が全国に轟くほど知名度が高かったものの、今では存在そのものが疑わしいものになっている伝説の一族。只人でありながら只人とは思えないほどに身体能力が高く、多種多様な武器を使用していることからその特異性が話題となっていた。
「どうして気づいたの?」
「状況から推測したのさ。それと、女の子が物騒な武器を持ち歩いていたし、掟とか言い出したらそれはもう破村以外考えられない」
「そっか……そうよね。でも、それを言うならあなただって忍者っぽいわよ? ねぇ、あなたっていったい何者なの? 本当は忍者なんじゃない?」
真剣な眼差しでこちらを見つめてくる白菊。しかし、千堂にとって自身の名を明かすことは危険極まりない事でもある。千堂を利用する者もいれば、千堂を忌避する者も多くいる。どちらにせよ、名乗ればこの先の関係に支障をきたすと考えた羅刹は案の定、誤魔化すことにした。
「……わからないよ。生まれた時から俺は山にいたし、家族以外とは接する機会はなかなかなかったし。自分の事家系の事はよく知らないんだ」
「そうなんだ……。じゃあさ、この際あなた忍者を名乗りなさいよ! そしたら、あなたを私達の家に招くことができるから!」
「え……?」
嘘をつけばつくほどカオスになる展開に羅刹は困惑する。山賊が忍者を名乗るなんてどう考えてもおかしい。
「ね? いいでしょ?」
「い、いやそれは流石に……」
「決定ね! 私、お父様に話をしてくるわ!」
「あ、ちょっと…………。はいはい、このパターンね。もう慣れたよ、コンチクショー」
お転婆といえば可愛げがあるが、普通に人の話を聞かない迷惑な奴ともいえる。ただ少しの期間だけ話し相手になってもらえばそれだけでよかったのに、と羅刹は何度目になるかわからない後悔を今日もするのであった。
今度も上手くいかないだろう。そう思っていた羅刹にとって、白菊の行動は楽観視できるものではあったが、青天の霹靂というべきか。なんと白菊は例のお父様とやらを連れてきてしまった。
軽装で来たその男はいかつい顔をしながら羅刹を下から上へと吟味するように観察し、そして…咆えた。
「貴様がうちの白菊を誘惑したクソガキかぁぁぁぁぁぁ!!」
「いや、なんでやねん」
どういう説明すればこうなるんだ?と、男の後ろでプルプルと震えている白菊を見たのだが、彼女はガタガタと体を震わせ、首をフルフルと横に振るのみ。
あー、話をちゃんと聞いてもらえなかった感じね。了解、了解。
「夜は危ないから出歩くなと娘に言いつけておいたのに……。貴様が娘を謀ったに違いない!」
「あのですね、俺が白菊を誘ったというか、彼女が……」
「呼び捨てだとぉ!! それに彼女とは……もう許せん!! 潔く死ぬがいい!!」
そう言うと男は懐から直径五十センチほどの細長い針のようなものを取り出した。小刀を使わなかったのは娘の前で凄惨な殺しを見せたくないという思いの表れだろうと羅刹は勝手に納得した。針なら出血が抑えられるしね。
「お、お父様!! やめてください!!」
「お前はこやつに騙されておるのだ!! 忍びの娘ならしっかりと暗殺術を見ておれ!!」
忍びということを隠すつもりもなければ、暗殺ですらない。話は聞かないし、手がすぐに出る。この娘にしてこの親ありって感じだなー、と殺意を向けられてはいたが、羅刹は未だ心に余裕があった。それもそうだろう。強さの格が明らかに差があるのだから。
男の針が自分の急所。心臓の方へと伸びてくる。戦闘態勢に入った羅刹は針の軌道も速度もゆっくりに感じる。そしてその針を袖に忍ばせておいたナイフで粉々に切断していく。
パララララ…………。
「な、なんだ!?」
驚いた様子の男。羅刹の手の動きを視認することが出来ない者にとって、男の針は羅刹に近づいていくたびに粉々になって霧散してしまうように見えるのだ。どう考えても普通ではない。
「あのさぁ……。俺は別に白菊を誘惑したつもりもなければ、君達に危害を加えるつもりもないんだ。今の攻撃は勘違いってことで大目に見るけど……。次やったら容赦しないよ?」
「そ、そんなバカな……こんな子供が私より強いなどと……」
絶望した顔の男。自分より小さい子供に格の違いを見せつけられたショックで放心したようだったので、羅刹はこれまた大きなため息をついて苦肉の策を実行する。
「君達を"異端"認定すれば、俺は"狩"らなければならないけど?」
「!? そ、そういう事か……。それならば……、そうだな。ほ、本当に失礼した。い、今まで娘がお世話になりました……」
「え、えぇ!? どういう事? なんかお父様の態度が一気に変わったのだけれど……?」
やっぱりな、と、羅刹は得心がいった。白菊は千堂の存在自体を誰からも教わった事が無いのだろう。並外れた身体能力があり、山奥に一人でいれば知っている者からすれば、推測の候補として挙げられるのが千堂だ。千堂のせの字も出なかった事から存在を知らなかったと言えば納得できる。
この際、破村の隠れ家に行くのも面白そうだなと思った羅刹はもう行けるところまで行ってみることにした。
「俺、実は家族がみんないなくなっちゃって天涯孤独なんだ。一時的でもいいんだけど、君達の家によってみたいんだけど」
「だ、だが、それは……」
「ふぅん……。勘違いで人を殺そうとしたくせに詫びもなしか……。面白いなぁ……」
「!!」
顔が一気に青ざめる男。白菊は尚も混乱している。
「知ってるかもしれないけど、俺のとこの習わしは自分の妻はよそから……」
「いやぁ! さっきは誠に申し訳ない!! 勘違いとはいえ手を出してしまうとは……。不徳の致すところだ! ぜひ、我らの隠れ家に招待したいのですが、ご都合の程はよろしいでしょうか?」
「うん、問題ないよ」
「???」
そう。俺たちは自分の妻をよそからさらってくるのが基本。山賊の名は伊達ではない。さらってくるとは言っても無理やりではなく、惚れさせ、家族に引き込むという意味合いなので普通の恋愛となんら変わらないのではあるのだが、なぜか、さらうというワードが広まっているせいで偏見で捉えられることも多々あるのだ。この場合、そういう事だろう。
というか、やっぱり娘の事好きすぎだろ、この親は。
「じゃあ案内よろしく。ええっと、名前は……」
「これは失礼。私の名は
壱か……。言い換えれば破村一族の頭領といった立ち位置なのだろう。こんな奴が頭領ならそりゃあ衰退するよね、と羅刹は心の中でため息をつく。
「俺は羅刹。ただの羅刹。よろしくね、ベンテンさん?」
「!!」
羅刹は悪戯っぽく舌を出して挨拶をする。白菊には見えないようにして紫色の逆十字の刻印を弁天に見せると、弁天はひきつった顔で無理やり笑顔を作っていた。
「?? まぁ、なんかよくわからないけど……。羅刹が一緒に来てくれて嬉しいわ!」
白菊の無邪気な顔を見て弁天は毒気が抜かれたようにほのぼのした顔になっている。とりあえず、このおっさんの親バカぶりを改善しないとどうしようもないな、破村の行く末が心配になる羅刹だった。
破村一門。
忍びの家系。任務に忠実。絶対的な掟の存在。堅苦しい雰囲気を思わせる忍者の一族。それが破村という現在進行形で衰退している奴らの正体だ。
昔は数多くの大名から依頼が舞い込んでいたようだが、今となっては仕事の依頼自体が皆無。残ったものは時代錯誤の価値観と、自給自足の生活。人知れず妖魔を狩り、人知れず滅ぶ種族。聞いていた情報と実際に目で見る情報に相違がない事を羅刹は実感した。
周囲を山に完全に囲まれているこの地形は、外部からの接触を物理的に嫌っている節がある。簡易的なため池や畑が細々と彼らの暮らしを支えていることを感じさせられ、人口は五十人くらいいるようだ。家の中に引きこもってこちらの様子を伺っている者ばかりだが、羅刹にしてみれば気配遮断のやり方がお粗末と言わざるを得ない。
「そ、それで、羅刹さんはこちらにはどのくらい滞在される予定なのでしょう?」
弁天の家まで行く間に数多くのさびれた家を通過していきながら羅刹と弁天は会話をする。白菊は二人の話に入りずらそうにしているが、羅刹は無視して話を続ける。
「そうだなぁ……。まぁ、一週間といったところかな」
「そ、そうですか……。で、ではそれまでは私どもの家でゆっくりとなさってください」
「うん。ありがとう。あと、呼び方は羅刹でいいし、そんな仰仰しくされると他の忍びから敬遠されるじゃないですか。もっとフランクにしていいですよ」
「ふ、ふらんくですか。わ、わかり……、わかった」
さっきから殺気や疑惑の視線でチクチクしていたのだ。まぁ、破村の長が敬語で子供に接しているのは彼らにとって気持ちのいいものでもないだろう。殺気を殺気で返すくらいはしたかったのだが、第一印象は大事だし抑えておいた。
しかし、この隠れ家……全体的に暗いなぁ。木々や崖に囲まれていて光がほとんど入って来てないよ。ちょっとした洞窟の中にいる気分だね。
それから少しの無言が続いた後、件の家が見えてきた。他の家よりしっかりと木造で建てられているので一目でわかった。三階建ての立派な家だ。
「ここが我が家です……。あ、我が家だ。遠慮なくくつろいで……、くつろぐといい」
「ありがとうございます。それでは遠慮なく。お邪魔しまーす」
玄関の扉を開ける。そこには見た目以上に綺麗で広々とした空間が広がっていた。一言で言えば高級旅館。とても個人が普段使いで住むレベルじゃない。素直に羨ましいね。
「……いい家だね」
「でしょー!! 私の自慢の家よ!!」
白菊が調子を取り戻したように勢いづく。でもなぁ……。君、家の事そんな好きじゃないっぽかったよねぇ……。
すると、奥の方から綺麗な着物を着た綺麗な女性が出てきた。白菊の姉だろうか?
「あらあら……あなたと白菊……。そちらの方は誰かしら?」
「お、おう。この方が例の子供でな……。羅刹といって……あの……」
なんでお前(弁天)がドモる……。まぁいいや。
「初めまして。羅刹と言います。俺の事は普通に羅刹って呼んでください」
頭を掻きながら舌をペロっと出す。それを見たその女性は……後ろへ倒れこんだ。
「お、お母様!?」
「乱菊!?」
へぇー。白菊のお母さんだったのか。めっちゃ若いなぁ……。いや、実際は若く見せているだけなのか?忍びも案外やるじゃん(?)
乱菊と呼ばれた女性に白菊と弁天が駆け寄る。羅刹も近寄ってみたが、どうやら千堂だとわかって失神したらしい。これは……どっちだ? 純粋に驚いたのか、恐怖で気が動転したのか。まぁ、どっちでもいいや。
「な、なんで羅刹に会うとお父様もお母様も変になるのよぉーー!!」
白菊の絶叫が家中に響く。そうだね。俺だって意図的にしてるわけじゃないんだけどね。
「……ふぅ。まぁ普通に気絶しているだけだろう。白菊、羅刹にこの家を案内してあげなさい」
「は、はい。お父様……。お母様は……」
「居間に寝かせておく。心配はいらない」
「わ、わかりました。じゃあ羅刹。一緒に行きましょう?」
「うん、まぁそうだね。これ以上ここに居たら俺もおかしくなっちゃいそうだし」
「?」
白菊は気づいていないようだが、乱菊が倒れこんだ瞬間、羅刹に複数人の殺気が至る所から発せられた。当然、そこまでされたら反撃するのもやぶさかではない。殺意の波動を拒絶の絶技で跳ね返した。きっと、今頃天井裏や床下に潜んでいた何人かは乱菊のように気を失って泡を吹いている頃だろう。鼠に食われるなよ。
忍び特有の歓待(?)を受けた羅刹は白菊の案内で一通りの部屋を案内される。統一性のない忍具がたくさんある部屋や、年季の入った巻物や書物がギュウギュウに敷き詰められた部屋。さらには、トラップ盛りだくさんのカラクリ屋敷のような部屋にまで案内させられ、自宅にこんなものがあったら嫌だなぁ、と鬱になりかけた羅刹だった。
「で、ここが最上階で客間ね。ここをしばらく使って頂戴」
「うん、ありがとう。というか、三階に客間があるんだね」
「そうね。変わってるとか思うけど、うち、基本的にまともな部屋がないから」
そこはしっかり認識できてるんだ、とちょっと安心した。
「俺は今からまた狩りに出かけるけど……来る?」
「え、なんで狩りに行くの?」
「? そりゃあ、昼食と夕食の確保に……」
「べ、別にいいわよ! あなたはお客様なんだから、食事はこちらで用意するわ!」
「別にいいよ……。寝床があるだけで充分だし、ここには観光で来ているわけでもないしね」
「で、でも……」
「それにさ。ここには特にすることないだろ? 地形も大体把握したし、じっとしてるのもなんだしな」
「そ、それじゃあ私達の訓練を見学したら? 忍びとしての基礎能力や戦闘に必要な……」
白菊がそう言いかけて言葉を詰まらせた。破村の長が萎縮するほど強さを備えているこの少年に訓練を見学されたところでつまらないのではないのだろうかと。
しかし、羅刹はそれも悪くないかも、と、意外にも好感触の返事で答えた。
「じゃあ、さっそく行きましょう! 場所はねー」
「ああ、もうわかってるよ」
「なんで!? 来た道とは反対側にあるのに!?」
それがわかっちゃうんだよなー、と心の中でぼやく。千堂の地形把握能力や感知能力は世界最高峰なのだから。
訓練場。というか、建物一つを丸ごと訓練施設にしているその場所は、さっきの白菊の家とは違い、トラップの数が倍以上に備えられていた。扉を開ければ矢が飛んでくるし、気をつけてなければ床が抜けるし、しまいには、建物の一部が突然爆発したりする。もはや、トラップの設置そのものが訓練以上にハードなのではと思わせるほどだ。
勿論、屋外にも木で作られた人形やワイヤーで作られた設置罠など、まぁ基本的なものが置かれてはいた。しかし、羅刹にして言わせれば、実戦で妖魔と戦う方がよっぽど勉強になるため、そんなに興味が惹かれない。
「どう? なかなかのものでしょ?」
「只人にしてはねー。うん、でも爆発ネタは楽しめたよ」
「ネタっていうなぁー!」
「はははは」
正直、ここで修行ができるとは思ってもいない。ただ、人と会話をしてこなかった分、ここで少しでも人と触れ合っていたかっただけなのだ。だから、このまま話しているだけでも充分楽しい。
しかし、この訓練場にも十人くらいの黒ずくめの忍びがいるのだが、彼らは遠巻きにこちらを見ているだけで、積極的に関わって来ようとしない。
「……ごめんね? みんなも悪気があるわけじゃないの」
「別に気にしてないよ。俺は白菊と話が出来るだけで嬉しいんだから」
「!! も、もう! やめてよね、そんなこと言うの!」
周囲の半数から殺気が向けられる。なるほど、半分は男なわけか。わかりやすいなぁ……。
と、その中の殺気を向けてこない一人がこちらへ近づいてくる。しかし、意外にもその人物は女ではなく、男だった。
「やぁやぁ。君はこんなところで何をしてるんだい?」
気さくな話し方だ。悪意も敵意もない。しかし、同程度に好意も感じられない。何とも不思議な男だった。
「初めまして。俺は羅刹。少しの間だけ白菊の家で過ごさせてもらうことになったんだ。別に一生ここで暮らすわけでもないから、ちょっとの間だけでも仲良くしてほしいな」
「え? 羅刹ぅー。
「あ、あれ?」
今一瞬、何か意識をずらされた感覚に陥った。なんだろう。攻撃を受けたわけでもないが、何かをされた事は感じた。羅刹は手で頭を抱える。
「ら、羅刹? どうしちゃったの?」
「そうだよ。
まずい。このままでは認識を……認識? ああ、そういう事か。
「酷いなぁ、ウッドペッカー」
「えへへへ。ごめんなぁ? ちょっと同郷の人に会って嬉しくなっちゃってぇ。アカン癖よなぁ」
「まったくだよ」
「???」
白菊は羅刹とこの男を何度も交互に見て不思議そうな顔をしている。説明したいところだが、そんなことをしても結局は同じなのでやめておいた。
「久しぶりぃー。奇遇だよねぇ、こんな辺鄙な場所で会うなんて」
「うん。何年振りかもう忘れちゃうよね。それにしても、こんな場所まで木をつつきに来たの?」
「
ウッドペッカー。千堂の中でも特に変わり者で能力も行動原理も理解されない摩訶不思議な男が白菊に手を差し出す。
「実は初めましてなんだけど、君からしたら誰でもない誰か、な僕です。意味わかんない? いいや、それは理解できないだけさ。僕はいつだってここに居る」
「あ、あれ? あなたは私達の仲間……? よね? でも初対面だし……? あれ……?」
「まぁまぁ、落ち着きなよ。僕の名前は千堂真賀里。ちゃんと覚えて帰ってね?」
「!!?」
取り巻きの黒づくめの連中が一気に騒々しくなる。彼らは千堂の名を知っているようだった。
「そう慌てなさんなって、あんたらはさ。これでも、曲がりなりにも千堂よ?別に破村を潰そうって魂胆じゃないんやから、大人しくしておいて欲しいわ」
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