第40話 開拓村建築作業
お悩みのリーザさんにはとりあえずこう提案してみる。
「何ならリーザさんもああやって踊ったり歌ったりして魔法を起動してみませんか。あの踊り方やテンポは応用が効きそうですし、実際にやってみればどういう事かわかるかもしれませんよ」
勿論本音は悩みの解決ではない。
可愛く踊るリーザさんを見たいだけだ。
ちょっと羞恥で頬を染めたりしてくれるともう最高。
「……やめておくわ。ちょっと私では似合わない気がするし」
ちぇっ、残念だ。
でも仕方ない。
ここで無理強いしてリーザさんとの関係を悪くする訳にはいかないのだ。
何としてもお風呂に誘って色々確かめなければならないからな。
さて、約1時間程度で宅地も畑も造成作業は完成した。
流石にカルミーネ君とカタリナはかなり疲れたようだ。
魔力もかなり減っている。
「2人ともお疲れ様。しばらく休憩していて。あ、カルミーネは黄色い雷の衣装に着替えて。この後私が土の魔法を使うから」
「わかりました。「メタモルフォーゼでメイクアップ!
俺はすぐ着替えずにじっくりとカルミーネ君の着替えシーンを視姦させてもらう。
やっぱり何回見てもいいものはいい。
この状況を後で確認できるよう記録にとっておきたい位だ。
でも残念ながら映像を記録として残す技術や魔法はまだ持っていない。
ビデオとかいう技術が異世界にある事は確認しているので、何とか入手したいと思ってはいるのだけれど。
「メタモルフォーゼでメイクアップ!
俺は風から土へと衣装変更。
そして。
「次は私とサリナの番よ。これから氷魔法を使った土の耕し方を説明するね」
という訳でサリナに図を描きながら説明を開始する。
方法論としては霜柱のメカニズムだ。
深い部分を凍らせて土に隙間を作る。
その次に浅い部分を凍らせて隙間を作る。
更に浅い部分を、そして今度は凍らせたり凍らせなかったりする場所を縞模様に。
最後に氷を蒸発させれば氷によって耕された土地が完成するという訳だ。
既に土はカタリナの魔法で充分混ざっているし水分も含んでいる。
だからこの方法でかなりいい畑になる筈なのだ。
その辺をゆっくりサリナに説明する。
「わかりました。水分を凍らせることで土を耕すんですね」
「そう、お願いね。私は住宅の方をまず作るから」
住宅等の建物の方は色々設計して貰っている。
それを宣言魔法で宣言しておいて、標準型の家については宣言をまとめて一気に作れるようにしておくと楽だろう。
俺は家の設計図に目を通す。
異世界風に言うと2LDKという間取りだな。
子供寝室、夫婦寝室、リビング&台所という間取り。
ただ農家だからやや広めの倉庫もついている。
簡素だがそれなりに使いやすそうな間取りだ。
宣言魔法を繰り返して、何とか『標準開拓者宅1』という宣言名にまとめた。
これで量産できるな。
あと共同倉庫なんかもついでに宣言魔法で作っておこう。
ついでだから標準の家をまとめた区画単位の宣言も作っておくか。
「何をしているんですか」
リーザさんに聞かれた。
確かに設計図をみながらひたすらぶつぶつ言っているのって変だよな。
俺としては宣言魔法で家の要素を宣言しているのだが、その辺を知らなければ確かに怪しい行動にしか見えない。
「家や倉庫を作る下準備みたいなものです。これでしっかり覚えておけば一気に建物を作ることが出来るようになりますから」
「イメージを暗記しているようなものですか」
「まあそんなものです」
むろん完全に暗記なんかできないから宣言魔法を使うのだけれど。
一方サリナの作業は結構進んでいる。
サリナもカルミーネ君同様、飛行して確認しながら作業をしている模様。
土が端から盛り上がっていく姿はなかなか見ごたえがある。
既にサリナは氷魔法を大分使いこなしているようだ。
年長と言うのもあるしそれなりに練習もしているのだろう。
俺から見てもなかなか魔力の練り方と魔法の使い方が上手いなと思う。
もう
本人自身の魔力もそれなりに育っているし。
さて、俺もそろそろ作業にかかるか。
俺は自分用の飛行用着装具を持っていない。
でも土魔法の
本当はカルミーネ君やカタリナから着装具を借りればいい。
でも2人とも休憩と言いつつもふらっと空を飛んで辺りを散歩したりしているので借りるのも悪いような気がする。
だから配置と現状をよく確認した上でここから魔法を起動するとしよう。
魔力を使いそうだから
そう言えば確かカタリナのダンスに似たダンスと曲がどこぞの異世界にあった。
今回はそれで魔力強化といこう。
恥ずかしいがどうせ見るのはいつもの3人とリーザさんだけ。
だから思い切ってやるぞ!
「どどどっと、やっぱ
どどどどどどーっと強烈な勢いで魔力が増幅していく。
どうやら成功したらしい。
今回は熱で土を加工するところまで全部宣言に織り込んでいる。
だから収容施設より遥かに魔力を使う筈だがその割には魔力の減りが少ない。
家以外にも道路とか色々作ったのだけれども。
予想では俺の魔力のほぼ全部が使われるとみていたのだが、このダンスと曲? のおかげでかなり節約できたようだ。
それでも魔力の半分以上がぶっ飛んだけれど。
いろいろやったせいで効果は絶大。
何もないところからいきなり集落が出現する。
「わーさすがじょあんなおねーちゃんすごーい!」
カタリナだけは無邪気にそう言うけれどほかの皆さんはもう驚愕の表情だ。
驚きのあまり固まって落ちかけたサリナを何とか魔法で受け止める。
強化されていない風魔法を使ったから更に魔力が減った。
まあ仕方ないけれど。
「何なんですかこの魔法は!」
「少しずつ作るより一気に作った方が合計使用魔力は節約できますしね。それにまとめて作った方が仕様も揃いますから」
宣言さえ作ってしまえば家1軒建てるのも街区ごと作るのも労力は変わらない。
使用魔力も家1件と家100件の街区1つとで、違いはせいぜい10倍程度だ。
なら出来る分だけまとめて作ってしまった方が効率がいい訳だ。
しかも今回は奥の手である可愛いダンスと曲? まで使ったからな。
「あとは午後、農地を区切って農道を整備すればほぼ完了です。でもこれだけまとめるとちょっと疲れますね。だからご飯まで休憩させてください」
何気にフィアンの村よりも入れ物は立派に出来たと思う。
ただ今の処全てが土とか焼き物製なので、木だの草だので作った道具類を入れてやらないと固いし冷たいしで困るだろうけれど。
食料用に魔法を使わなくてもそこそこ冷たい倉庫も作ったから、あとで冷蔵の食糧等を入れておこうかな。
それともその辺はやはり住民が来てからの方がいいかな。
その辺を考えていると眠くなってきた。
一気に魔力を半分以上使ったのでその反動で睡魔が出て来た模様。
俺はしなくていい我慢はしない主義。
だから収納ポシェットから防水布を出してさっと敷いて横にならせてもらう。
それでは皆様おやすみなさい……
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