第14話 俺の悪い計画
お昼は宿屋で食べようか別の場所を探そうか。
でもあの宿屋、飯が美味しかったしな。
サリナ達と相談しようと思って宿へと帰る。
部屋には2人ともいないし周辺をかなり広く探っても気配を感じない。
森の家かな、転移門で移動する。
上方に気配を感じた。
どうやら屋上で魔法訓練中の模様。
なおリビングに新しい衣服3人分が置いてある。
あの服屋へ取りに行ってくれたようだ。
でもまたあの服屋へ、今度はスパッツを作って貰いに行かないとな。
まあそれは後でやる事としてとりあえず屋上へ。
「お姉ちゃんおかえり」
「ジョアンナお姉ちゃん、お帰りなさい。お仕事はどうでした?」
「簡単だったよ。ちょうどいい依頼があったからもう正銀貨40枚分以上の仕事を終わらせちゃった」
「えっ、そんなにお金を貰えるんですか」
「今回はちょうどいい依頼があったからだけれどね」
そう言ってふと思いつく。
サリナやカタリナもこの服を着れば魔法を使える。
ならば魔獣退治の仕事を覚えて貰ったほうがいいかな。
魔法の訓練にもなるし将来これで稼げるようになれば一石二鳥だ。
勿論最初は俺が手厚くサポートする必要はあるけれど。
それにDランクを含む何人かのパーティならCランクの仕事も受けられた筈だ。
何回かCランクの討伐をこなせば俺もCランクになれる。
サリナやカタリナもDランクになればもうそこそこの冒険者だ。
そうすればもっと色々な魔獣の討伐依頼が出来るようになる。
ちょっと昼食時にその話を2人にしてみよう。
もし2人ともやってもいいというなら、午後は冒険者登録と服屋だ。
「そろそろお昼だしご飯を食べに行こう。あとちょっと2人に話があるしね」
「やった! お昼ご飯」
「話ってどんな話ですか」
「まあ食べながら話そうよ」
屋上から降りて転移門を通り、宿屋へ行って1階の食堂へ。
カタリナは『あのお肉の』が美味しかったらしく昨日と同じ
ご飯が来てしまう前に相談開始。
「お話というのはね。2人にも私のお仕事、つまり魔獣討伐を手伝ってもらおうと思うの。2人とももう魔法を使えるでしょ。だから訓練しながら3人で魔獣退治をしようと思って」
「やります」
サリナが前のめりに返事をする。
「お姉ちゃんにお世話になっているばかりでは申し訳無いですし、少しでもお役に立てるならやりたいです」
「そんな事はあまり気にしなくて大丈夫よ。さっきも言った通り収入は結構あるからね。だから自分がやりたいかどうか、それだけで決めてくれればいいから」
「でもやりたいです。少しでも自分の力で稼げるようになりたいです」
「カタリナは?」
「やりたい。魔法使いたい」
「ならOKね」
俺は頷く。
「それじゃご飯を食べたら冒険者ギルドに登録しに行きましょう」
そこでちょうどランチが運ばれてきた。
昼食開始だ。
今日のお勧めは分厚い豚カツと野菜と鴨肉のトマト煮込みだ。
カタリナはやっぱり
今日も3人で適当に分け合って食べる。
そしてやっぱり美味しい。
ここの宿は確かに飯が美味しいなと思う。
他に飯屋を開拓する必要がないと思う位に。
そんな訳で3人できれいさっぱり食べ終えて。
「さて、それじゃ冒険者ギルドに行って冒険者になるよ」
2人とも既に例の魔法装備とショールというスタイルだ。
さっきまで魔法の練習をしていたからだがちょうどいい。
ギルドはこっち側から行く限りにおいてはあまり治安がヤバい場所は通らない。
一応気をつけてはいるけれど、無事に問題なくギルドへと到着した。
まだ昼下がりの時間なので中は職員しかいない。
「あらジョアンナさん三度目ですね。今度は可愛い子達を連れて何の御用事ですか」
どうも俺の担当は毎回
用心されているのだろうか優遇されているのだろうか。
そんな事を思いながら用件を話す。
「これからこの子達も一緒に冒険をする事にしたんです。ですから登録をお願いしようと思いまして」
「それでは3番の受付ブースにどうぞ」
どうやら新規の受付は必ず3番らしい。
あとは俺の時と同じように用紙に名前等を書く等の手続きをする。
ただし例のDランクへの質問は無かった。
そこまでのレベルには達していないと判断されたようだ。
まあその通りなのだけれど。
「ところでジョアンナさん。この人数ですとあと1人Eランクの冒険者を連れて行けばCランク任務も受けられますけれど、どうなさいますか」
「いまのままではCランク任務は無理ですか」
「5年ほど前に規約が変わったんです。それまではDランク1人と他2名以上で受けられたのですけれどね」
なるほど。
そしてちょっと考える。
油断も隙も無い
「そうお勧めするという事は、誰か一緒に行動した方がいいという冒険者がいるのでしょうか。それとも受けた方がいいCランク任務があるのでしょうか」
彼女は微笑む。
「わかりますか。今回は前者です。実は個人的に面倒をみて貰いたい冒険者が1人います。腕はまだまだだし魔法もまだ使えないけれど、この辺の地理や何処にどんな魔物がいるかを良く知っていますし、獲物の解体も出来るし素直でいい子ですよ」
いい子ねえ。
普通はそう言うと少年少女なのだろうけれど、マスターは
普通の中年程度までは子供扱いしかねない。
「どんな方ですか」
「カルミーネという11歳の男の子です。お父さんが亡くなってお母さんが病気なので、ここでよく他の冒険者の下請けとかをしているのですけれどね。それほど稼げないし手荒く扱われるしで、ちょうどいい相手がいないかなと思っていたのです。あの子の技能ならこのパーティには色々役立つとも思いますしね。ちょうどいいかなと思います」
さて、どうしようか。
俺としては本当はこれ以上人数を増やしたくない。
サリナとカタリナ2人を育てるだけでもかなり気を使うと思うのに。
それに今は女の子だけだから男の子を入れるというのもどうかと思うのだ。
でも……
サリナが俺の方を見ている。
「入れてあげたいと思いますけれど、駄目ですか」
うう、親が病気ということで同情してしまったな。
こうなると俺は嫌と言いにくくなる。
でも一応カタリナにも聞いてみよう。
「カタリナはどう思う?」
「可哀想。一緒に働けたらいいと思う」
やっぱり。
さてはこうなる事を見越して話したな、
そう思ってももう遅い。
「ならその子に会って話を聞いてみましょうか」
「ありがとうございます。それでは案内しますからこちらへ」
おいおい本人いるのかよ。
そう思いつつ俺は
「中は魔法で低温になっています。魔獣の肉や毛を出来るだけいい状態で保存するためです。今日は誰かさんのおかげで解体する魔獣も多いので、カルミーネにも手伝って貰っています」
つまり俺のせいかよ、そう思いつつ中へ入る。
もっと動物臭い匂いがするかと思ったが、低温のせいかそう感じない。
実は俺、あの手の臭いが苦手なのでありがたい。
室内で何人かが解体や皮なめし等をしている中、1人明らかに小柄な少年がいた。
身長体格的にはカタリナとサリナの中間くらいだ。
11歳にしては小柄かな。
「カルミーネ、仕事の方はどう?」
「もうすぐこの黒狼の皮剥ぎが終わります。これで皮剥ぎの方は終わりで、あとは皮なめしと肉の部位をわける作業です」
話ながらも手先は止めない。
そしてなかなか手捌きがいい感じだ。
見かけによらずこういった作業に慣れているな。
「それでは皮剥ぎ作業が終わったら手を洗って事務所の2階、私の執務室までお願いしますね。少し話がありますから」
「わかりました」
うん、なかなかいい感じだ。
それに……俺はちょい悪い考えを思い浮かべてしまう。
名前がカルミーネと女の子っぽいし、顔も割と女の子顔だった。
そして俺の収集した異世界の知識に確か『男の娘』という存在がある。
カルミーネ君ならあの魔法
顔も体格的にもちょうどいいし髪も整えれば大丈夫。
本人も仕事のためなら断れまい。
取り敢えずカルミーネ君の分のショールとスパッツも服屋に発注しよう。
あれくらいの少年なら一緒のお風呂なんてのも楽しいよな。
この世界は混浴禁止なんてないし、そもそもこの程度の街なら男女用問わず浴場は1つしか無いだろうし。
男の娘だけでなくショタいじりという愉しみも増える訳だ。
以前はショタなんて興味どころか思考の欠片にも存在しなかった。
でも今は女子の身体のせいだろうか。
何かショタに萌える自分を感じる。
お風呂で洗ってあげるのは何処までがセーフかな。
ここかな何処かなあそこかな。
ああ、何か楽しくなってきた。
ひひひひひ。
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