第13話 報奨金獲得と支部長のサービス
取り敢えずお仕事終了なので冒険者ギルドへ。
今度は南側の木戸から。
「フィアンの村のジョアンナです」
「身分証明書を拝見します」
あ、そうか。
フィアンの村は北側だからこっちから来るのは怪しいよな。
でも幸い冒険者ギルドで身分証を作ってあるので提示させて貰う。
「お若いのにDランクの冒険者さんですか。それではお気をつけて」
無事通してくれた。
さて、それじゃギルドへ急ごうか。
こっちから冒険者ギルドへ行くとかなり治安が面白そうな地区を通る。
朝からやっている酒場だの安宿だの安武器屋だのがある地区だ。
この辺はサリナやカタリナを連れてこられないな。
そう思いながらのんびり歩いているとだ。
「おっ、今朝の餓鬼だ」
野卑な声と台詞が聞こえたりする。
面倒なので無詠唱で『身体超強化超硬化』を発動。
そのまま冒険者ギルドをめざす。
「おい、そこの餓鬼」
餓鬼という名前に心当たりが無いから無視だ。
「お前だよお前」
背後から掴んできたから軽く捻って落としてやる。
出来れば無視したいが折角のショールが傷むと嫌だから。
更に蹴飛ばそうと来た奴は軽く上にジャンプして避け、殴りかかってきたのは強化した右腕でさばく。
うっとうしいなこいつらは。
相手にしたくなかったが仕方無い。
立ち止まって振り向く。
「あまり相手にしたくないですけれどね。馬鹿は身を滅ぼすよ」
「やっちまえ」
馬鹿には言葉が通じないようだ。
仕方無い。
強化したまま軽く跳躍。
馬鹿共の身長よりちょっとだけ上まで飛び上がり、蹴り4発で2人の意識を奪う。
更に掴みかかってくる1人の腕を高速で捌いてついでに横に引き倒し、最後の1人が殴りかかって来た腕を両足で挟んだ後、軽く骨を外してやる。
「馬鹿なだけでなく腕もないのね。本当はゴミとして焼却処分した方がいいのだろうけれど、一応決まりもあるので今回は見逃してあげる。ただ次を試すときはそれなりに注意してね。今回は攻撃魔法を使わなかったけれど次は面倒だからさっさと処理させて貰うから」
どうなるかの見本として男の1人が落とした帽子を無詠唱で炎上させる。
流石にこれ以上は襲ってくる馬鹿はいない模様。
ただ遠巻きにして見ている感じだ。
そんな怪しい連中を背後に引き連れたまま冒険者ギルドへ。
こんな異様な状態でも
「こんにちはジョアンナさん。今回は継続依頼の報告ですか」
この前と同じような調子で聞いてくる。
「あそこに貼ってあったDクラス討伐依頼も1件片付けたけれど、その場合もここで報告でいいですか」
「大丈夫ですよ。それでは4番の受付ブースで」
4番のブースは若干受付の机が大きくて広めだ。
血痕が若干あるのを見ると、討伐した獲物を出す為のカウンターのようだ。
「それじゃまずは討伐依頼の白銀狼2頭から」
ポシェットからドンと出す。
おーっと背後の連中から歓声というか何と言うか声があがる。
「Dの3番依頼ですね」
流れるような無駄のない魔法と慣れた手つきは何と言うか流石だ。
「解体をこちらで行うと手数料が1匹あたり小銀貨2枚かかりますが宜しいですか」
「ええ、お願いします」
「他に継続依頼のもあったらお願いします」
「それではこれを」
残り12匹の狼魔獣を出す。
再び背後で湧き上がる雑音。
「これはこちらで解体後、全て買い取りでいいですか」
「それでお願いします」
「わかりましたそれではジョアンナさん、少しかかりますのでそこの椅子にお掛けになって待って下さいね」
俺がブースからさがると後の群衆もすっと俺を避けるように移動する。
そんな訳で俺は本来4人掛け程度のベンチに1人で腰掛け、ギルド職員の様子を見守る事になる。
「今事務所に残っている査定可能な係員集合! 大口よ」
5人ほど職員が集まる。
「査定開始。Dランク依頼は私が確認するからそれ以外の査定金額を出して。全部こっちで解体して買い取りで」
毛皮の質とか傷、肉の状態や新鮮さ等を判断しているようだ。
共通のチェックシートがあるらしく、調べながら書き込んでいる。
更に台車を引いた職員が2名現れた。
査定が終わったものから積んでは何処かへ運んでいく。
なかなか皆さんいい動きだな。
冒険者ギルド職員の質は結構高いようだ。
動きに見とれているうちに、
「ジョアンナさん、査定結果が出ました」
なんて呼ばれて再びカウンターへ。
「毛皮に討伐時の傷は無く、肉も最高に新鮮な状態です。おそらく傷を与えないタイプの魔法で倒して、時間停止タイプの収納庫を使われたのでしょう。ですので毛皮も肉も最高評価で計算させていただきました。
結果、今回の報奨金と買い取り金額の合計は小金貨4枚、正銀貨6枚、小銀貨6枚になります。税金は天引きされていますのでご安心下さい。各金額の詳細はこの紙の通りです。
確認して納得していただいたら、こちらの受取証にサインをお願いします」
うん、ここの冒険者ギルドはよく出来ている。
もっとこういう場所はいい加減な物かと思っていたのだけれども。
「大丈夫です。迅速な査定ありがとうございます」
受取証にサインする。
「それではこれが今回の御代になります。確認下さい」
確かに小金貨4枚、正銀貨6枚、小銀貨6枚ある。
俺は受け取ってポシェットにしまい、受取証を出す。
「それでは次回も宜しくお願いします。あとはちょっとだけサービスで」
「これだけの報奨金をもっているからと言って、この後ジョアンナさんを狙うのはやめておいた方がいいと
以上、当冒険者ギルドの
おいおいあの騒ぎまで把握済みかよ。
遠視魔法か何かを使えるんだろうか……使えるんだろうなきっと。
あと群衆の皆さんが俺を見る目つきが……
今までは隙あらばという感じもあったのだが、完全に畏怖へと変わったぞ。
それだけ
とりあえ今後の問題が少しでも減ったのは感謝すべきだな。
「ありがとうございます。おかげで助かります」
「余分な事とは思いますがこちらもあまり戦力を失いたくないですから。これからも当ギルドを宜しくお願いします」
俺が歩くたびに人の群れがさっと逃げる。
なんだかなと思いつつ、俺はギルドを後にした。
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